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RouteX Inc.は2020年3月より、フランス発で世界各都市にグローバルなDeep Tech領域のネットワークを拡大する世界最大規模のコミュニティ・Hello Tomorrowの日本ハブである、Hello Tomorrow Japan様とEcosystem Partnerとして連携させていただくこととなりました。
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「情報の非対称性のない世界へ」をミッションに掲げ、世界のスタートアップエコシステムに関する事業を展開するRouteXは、今後Hello Tomorrow Japan様とともに、Deep Tech領域におけるスタートアップエコシステムの発展に尽力して参ります。
本記事では、最先端の科学技術によって破壊的イノベーションを生み出すDeep Techとは何なのか、そして世界最大のDeep TechコミュニティであるHello Tomorrowについて紹介させていただきます。
目次
1. 次世代の破壊的イノベーションを生み出す・Deep Techとは
2. 世界最大のDeep Techコミュニティ・Hello Tomorrowとは?
3. まとめ
1. 次世代の破壊的イノベーションを生み出す・Deep Techとは
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現在様々な文献や記事でDeep Techという言葉が取り上げられ始めていますが、一般的には、
「破壊的イノベーションを生み出すための、独創的かつ複製困難であり特許化された最先端の科学技術を用いたソリューションをもつスタートアップ」
がDeep Techの定義となります。
これまでの革新的な技術の発展を見てみると、18世紀の蒸気機関の発明に伴う産業革命に始まり、鉄道や製鉄技術・石油化学・自動車など、様々な技術が人々の生活を豊かにしてきました。そして、20世紀末から21世紀にかけて起こったICT分野が、直近で起こった破壊的イノベーションだと言われています。現在ではGAFAを中心として、様々なプラットフォームやAppが人々の生活を豊かにし、世界各国のスタートアップが新しい価値を生み出しています。
一方、「Deep Tech」は、その技術自体が次の産業革命を生み出し、根強い環境問題を解決するポテンシャルを持っているという点で従来の「Tech」とは一線を画しています。このポテンシャルには全世界の国や投資家が注目しており、世の中にイノベーションを生み出すため、様々なスタートアップが勃興しています。現在世界70か国で約8500ものDeep Tech企業が存在しているというデータもあります。
こちらの記事では、イギリス最大のVCの一つ、AtomicoのパートナーがDeep Techの将来性について語っています。
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また、中にはDeep Techに特化したVCや投資家も出てきています。
こちらはサンフランシスコを拠点に活動するPropel(x)というVCです。ARMやBoschといった欧米の大企業と連携してDeep Techの社会実装を加速させていることがわかります。
このような技術は、大学の研究室や公的な研究施設から生まれることも多いため、これまでのスタートアップエコシステムにはなかった新しい枠組みを必要とするといった課題があります。
そこで、その課題を解決する取り組みを行う、
Hello Tomorrow
について紹介させていただきます。
2. 世界最大のDeep Techコミュニティ・Hello Tomorrowとは?
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ここからは、世界最大のDeep TechコミュニティであるHello Tomorrowについて紹介します。
Hello Tomorrowはフランスで2011年に設立されたNPO法人で、Deep Techの研究者や事業会社・投資家等をグローバルに接続するコミュニティを通じて、革新的な技術の社会実装を加速することを目的としています。
そして、Deep Techが持つ可能性を最大限に引き出すことで、地球規模の環境問題やより良い社会の実現を目指し活動しています。
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現在世界各国から約2000のスタートアップが参加し、各都市の大学やインキュベータ、大企業、投資家をつなげる有機的なコミュニティへと成長しています。
Hello Tomorrowの主な活動は以下の3点となります。
①Global Challenge – Deep Techに特化したコンペティション
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EnergyやData&AI、New Mobility等、14の技術分野において優秀なスタートアップを毎年選出するセッションとなっています。
2019年度のGlobal Challengeでは5000社以上のDeep Techスタートアップ が応募したようです。毎年各分野の優れた技術を独自の基準で評価し、優れたプロジェクトを選定しています。
では以下でこれまでに優勝したプロジェクトについて紹介します。
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2016年 – Lilium Aviation(Germany)
世界初の全電動・垂直離着陸可能な航空機の開発
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2017年 – Saathi(India)
バナナ由来の繊維を用いた生分解性の女性向け生理用品の開発
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2019年 – RxAll(Nigeria/USA)
リアルタイムで薬物品質を評価し、偽薬物の拡散を防止するハンドスキャナーの開発
このように様々な国から、革新的な技術を持つスタートアップが選ばれていることがわかります。
今後RouteXでは、Global Challengeの様子や、実際に選定されたスタートアップについて詳しく紹介させていただきたいと考えております。
②Global Summit – 3000人以上のDeep Tech業界のリーダーが集結
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毎年3月には、フランス・パリにて、Deep Techのパイオニアやスタートアップが集まるフラッグシップ・カンファレンス・Global Summitが開催されます。
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2019年に参加した団体がこちらです。世界中から様々な企業やスタートアップ、投資家、研究者が集まっていることがわかります。
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Global Summitでは毎年4つのテーマが設定され、そのテーマがどのように世界を変えるかについて著名な研究者や起業家が語るだけではなく、実際の技術の有用性について知識を得るためのセミナーやDeep Techの投資家に限定したミートアップ等、様々なセッションが行われます。
また、Global Summitが実施される週はDeep Techとして、大小様々なイベントが並行して行われ、パリ全体を盛り上げようという動きが非常に活発になります。
2020年はコロナウイルスの影響で3月のGlobal Summitが10月22,23日に延期となりました。RouteXではこのGlobal Summitを現地で取材し、基調講演で著名人が語った内容や、Deep Techエコシステムの最新状況を詳しくお伝えさせていただく予定です。
③Local Hubs – 世界各地でローカルイベントを開催
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Hello Tomorrowは日本を含む世界8都市にグローバルハブをおき、それぞれの地域でローカルイベントを開催しています。その中でHello Tomorrow Japan様では、日本のDeep Techコミュニティをグローバルネットワークに接続するとともに、日本の研究者たちからDeep Techスタートアップをインキュベートする支援を行っています。
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Hello Tomorrow Japan様ではこれまでに以下のような取り組みを行っています。
- Deep Tech Meetup – 各分野の研究者やスタートアップを招待し、トレンドの把握や参加者同士の交流を行う
- Learning Expeditions – 半年に一回、世界のDeep Techエコシステムを紹介する大規模イベント
- Japan Forum – 年一回、日本独自のイベントとして国内のDeep Techコミュニティを世界に繋ぐ。Hello Tomorrowのコミュニティを通じて海外の企業や投資家・スタートアップが参加し、ピッチコンテストやワークショップ、基調講演を実施する最大のイベント。
RouteXでは、Hello Tomorrow Japan様と密に連携させていただき、日本でのローカルコミュニティの構築、そしてDeep Techエコシステムのさらなる発展に貢献させていただきます。
3. まとめ
いかがだったでしょうか?
今後RouteXは日本におけるエコシステムの構築とともに、世界のスタートアップエコシステムとの関係性構築をHello Tomorrow Japan様とともに行っていきます。
具体的には、今年10月に延期となったGlobal Summitを取材させていただき、現地の様子や登壇者が語った内容について本ページにて詳細に報告させていただく予定です。
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それに先立って、今回実際パリのHello Tomorrow本社を訪問し、日本のDeep Techエコシステムの現在地やHello Tomorrowが目指す世界について取材してきました。そちらの様子も追って報告させていただきます。
【from Paris】
Hello Tomorrowパリ本部を訪問!
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さらに来る4月14日、Hello Tomorrow Japanとしてイベントを実施し、RouteXが後援させていただきます!
こちらはYoutubeライブによるオンラインでの実施予定ですので、みなさん奮ってご参加ください!
参加登録ページはこちら
RouteXでは、Deep Tech領域を含む様々な分野において、世界各国のスタートアップエコシステムを調査しています。
様々な形でクライアントの方々のお役に立てるよう、提案から実行までご協力させていただけますので、お気軽に以下のお問い合わせの方からご連絡ください!
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