去る5月27日(水)、セイコーエプソン株式会社主催にて、
の第1回イベント(全3回予定)として、教育・学習支援に関するオープンイノベーションイベントをWeWorkご協力のもとオンラインで開催いたしました!
本イベントでは、新型コロナウイルスの感染拡大により顕著化したオンライン学習を中心とした学習領域の課題について、ライフイズテック株式会社 取締役 讃井 康智様、株式会社idea spot 代表取締役 竹山 隼矢様のお二方をゲストにお招きし、パネルディスカッションを実施しました。
イベントには現役の高校生の方や教育関係で働かれている社会人の方など、約70名の方にご参加いただき、大いに盛り上がりを見せました!
イベントプログラムと当日の様子
18:30-18:40 オープニング
セイコーエプソン株式会社 執行役員 吉田 潤吉様より、社内におけるオープンイノベーションの取り組みやCVC(Epson X Investment)の設立についてご紹介がなされ、イベントがスタートとなりました!
18:40-18:50 Input講義(教育業界の課題について)
株式会社日本総合研究所 シニアマネージャー 大森 充様より、パネルディスカッションの前段として、新型コロナウイルスの感染拡大により顕在化した教育業界の課題を解説いただきました。また特に以下3つの教育課題が顕在化しているというお話をいただきました。
- オンライン教育インフラの未整備
- 自律学習の困難さ
- 広がる教育格差
18:50-19:20 パネルディスカッション
ライフイズテック 讃井様、idea spot 竹山様の2名のゲストに、セイコーエプソン株式会社 DX戦略推進部で教育分野を担当されている原 基彰様を加え、パネルディスカッションが行われました。
1. コロナ禍により再認識した教育上の課題は何か
讃井様:学校って行く意味ある?全部オンラインでできるのでは?という根源的な意味が学校に突き付けられた。オンラインでは厳しいし、学校の意義がクローズアップされた2か月だった。学校があることでどのようなご家庭でも最低限度の教育、給食が食べられる。またテレワークが強いられた環境の中でお子様と一緒だと仕事にもならない・学習にもならないといった課題も発生し、お子様を学校で預かることが大事だということも認識された。
「オンラインかオフラインかをOrで語られる時代」が終わった。オンラインの学習整備=ITがないと学習権が保証できない。体育・音楽はリアルでないと厳しい。 リアルとオンラインでベストな方法を学校・先生が選ぶ時代が来たのかなと。
学校・リアルの必要性がわかったし、学校の役割も変わっていかないと という問いが浮かび上がった。
竹山様:コロナ禍ではオンラインで授業を進めてきたが、低学年へのオンライン対応が難しい。高学年に対してもリアルと比べると質は落ちてしまった(付け焼刃だった)いい意味でも悪い意味でも「きれいな授業」をオフラインでもやってしまっている。同じコンテンツがオン・オフでも行われているのが問題
2. それらの課題を解決するには何が必要か?
原様:ギガスクール構想が前倒しされる中で、教材がデジタル一辺倒になるのではという危惧がある。デジタルとアナログの良さを教えていただけますでしょうか?
讃井様:オンラインとリアルの使い分けで大事なことは学習者を中心に考えること。オンラインでは特に重要。先生や学校がやりやすいという起点で(リアルの授業が)成り立っているが、オンラインだとその問題(生徒中心の学習体験が成立しているか)が散発した。UIやUXを考えることが=LX(Learning eXperience)を考えることが大事。インタラクションを重視している学びはZoomのような同期型ではないと担保できないし、YouTubeのような一方的な動画を送るだけの非同期型は学校ではない。LXをベースに判断すべき。
竹山様:理解をするということではオンラインがいいかも。しかし訓練はオフラインがいい。例えばオンライン英会話などの授業形式は双方を組み合わせたものです。そういったバランスが必要。
大森様:オンラインとオフラインをうまく組み合わせるのが必要、学習効果を「みえる化」するといった管理が必要では?オンライン・オフラインを使い分けてLXを高めている事例があれば教えてください。
讃井様:「オンライン+話しながらサポート」していくことを大事にしている。オンラインでもリアルでもインタラクション(メンターがきめ細やかに見ていく)が強み。基礎学習は自動化されたオンライン教材でそれぞれのペースに合わせてAIが教えてくれる。しかしアイディアを発展させて課題設定をしたり、悩んでいることに関してバランスをとったりすることはAIでは代用ができないので先生がまだサポート必要。伴走的な存在がAIではできない。オンライン教材をやらせておけばOKではなく、先生などがインタラクションを入れていくべきだと思っている。
竹山様:コロナ禍前からGoogle Classroomを使って課題管理をしている。最適化された課題を個がやっている。宿題が進められない子に対しては自習室に来いというわけではなく、Google Classroomを通じて連絡している。
原様:遠隔地への印刷や、回答をするためのスキャナーをつかったやりとりが可能。学習ログをとって皆で共有して学力を上げていくときにエコシステムができるのではないか?と思っている。
竹山様:プリンターやPC・タブレットがボトルネックだと思っている。現在国が動いてタブレットなりを提供する方向になっている。
3. それはOpen Innovationで実現できるか?
讃井様:結論としてICT周りはOpen Innovationなしでの解決は100%無理。学校にはリソースはない。外部の専門性が入らない限り学校がUpdateされない。同オープンイノベーションを実現するか?ICT化を進めて効率化しないといろいろ進められない。ICT周りも1社でカバーできる会社がない。一つの教育ビジョンに対して、会社・業界を超えて地域の教育をUpdateする必要がある。中長期のソーシャルインパクトを大事にするといった倫理観も教育事業派には必要になってきている。
大森様:持続可能な教育を提供するにあたり、目先の損益ではなく長期のキャッシュフロー実現・サステナビリティを担保するために連合体で推進していくこと、4月からSDGsがすべての小学校の教科書に入っているので学習する側も意識を持って進めればと思った。
高校3年生の参加者様からのご質問
私の学校は一人1台PCを購入し、日常的に使用しているのですぐにオンライン授業に移行できました。しかしオンライン授業では不十分すぎます。県をまたいでいるので分散登校もできず、6月末までオンライン。模試も受けられない。このままで間に合うのか不安。
竹山様:現在オンラインでたくさんの授業(のコンテンツ)が存在している。(それはすべてきれいな授業でその)きれいな授業が課題。きれいな授業だと受からない。4年生はきれいな授業だが6年生に行くに従って授業を劣化し考える余白を生んでいる。先ずオンラインで理解をする。そのあとの訓練に関しては一つのテキストを徹底的にやっていく。そういうスタイルがもとめられているのでは?
讃井様:自己調整学習が非常に重要。先生は頼りにすることをあきらめて信頼できる大人に相談すること、自分の状況をメタ認識することが大事。
讃井様:実際新しい教育を受けた生徒の気持ちを大人が理解することが大事。過渡期だからこそ子供たちの声を聴くことが大事。デジタルネイティブを超えたクラウドネイティブな子供たちもかかわってのオープンイノベーションが必要。
原様:オンラインが全盛の中で、エプソンが何かできるきっかけになるということを再認識できました。
教育は完全にデジタル化すべきか?学習者にとって最高のLX(Learning Experience)とは?といった熱い議論が交わされました!
19:20-19:30 エンディング
セイコーエプソン株式会社 DX戦略推進部 小原 秋寿様より、教育領域の課題解決における多面的な意見の必要性について話され、イベントが終了いたしました。
参加された方々からは、
「大人たちが手を取り合い、子どもたちの未来を作ることの重要性に気づかされました」
「プリンターの活用に可能性を感じた」
など教育分野における新たな気づきを得たというコメントが多数よせられ、大変好評なイベントとなりました。
次回開催概要
本イベント「社会課題×新たな事業創出」は全3回にて実施され、次回テーマは
「リモートワーク編」
となります!
開催日程:6/24(水)18:00~19:20
参加ゲスト:
株式会社スペースマーケットCOO 井上 真吾様
株式会社ヒトカラメディア 代表取締役 高井 淳一郎様
詳しくはこちらのイベントページをご覧ください!
セイコーエプソン株式会社では、3月に設立されたCVC「Epson X Investment」を皮切りに、様々な分野の社会課題解決に向けたオープンイノベーションの取り組みを今後も推進していくそうです!
セイコーエプソン株式会社の取り組みに共感し、一緒にイノベーションを起こしたい方のご協力をぜひお待ちしています!
ご興味のある方は以下よりご確認ください。
また、2019年11月に実施されましたセイコーエプソン株式会社主催のハッカソン・Epson Hack Trekの第二回の開催が現在検討中です!第一回の様子については以下よりご覧いただけます!
エプソン主催ハッカソン「Epson Hack Trek」開催!!
【Epson Hack Trek】栄えある入賞3チームを直撃インタビュー!
いかがでしたでしょうか。
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