2024年8月27日にイギリスの名門大学ケンブリッジ大学 Judge Business Schoolにて、Cambridge Japan Forumが開催されました。当日の様子を現地からお伝えします。
ケンブリッジ・ジャパン・フォーラムについて
ケンブリッジ・ジャパン・フォーラムは、2024年にケンブリッジ大学ジャッジ・ビジネススクールの学生によって設立されました。日英双方のビジネスへの深い理解と学術および産業の連携を強化することを目的に、初開催のフォーラムでは日英の主要企業からゲストスピーカーが参加したパネルディスカッションやケンブリッジ大学の教授によるケンブリッジのエコシステム解説が行われ、両国間の対話を深める場として重要な役割を担っています。
ケンブリッジは英国のテクノロジー分野の中心地として知られ、世界的な科学、研究、技術革新をリードしています。1209年に設立された歴史を持つケンブリッジ大学は、英国の教育の礎であり世界的に評価の高い教育機関です。
また、今回のイベントの開催場所であるCambridge Judge Business Schoolはケンブリッジ大学の一部として、世界的に高い評価を受けるビジネススクールです。革新的な研究と教育プログラムを提供し、MBA等を通してグローバルなリーダーを育成することを目指しています。特に、起業家精神、経営戦略、金融、イノベーションに強みを持ち、多様なバックグラウンドを持つ学生や教員が集まることで知られています。卒業生は、世界中のビジネス界で活躍しており、ケンブリッジ大学の豊かな学術資源を活用しています。
当日のイベントの様子
当日は下記のスケジュールと登壇者によってイベントが開催されました。
各登壇者のお話された一部をご紹介します。
Opening Remarks
Representative from:
Judge Business School, University of Cambridge
ケンブリッジ大学の取り組みやマクロ視点で見た日本経済の特徴について
Keynote Speakers
Embassy of Japan in the UK
日本経済の特徴と今後の成長可能性について
IOD Japan Business Group
日英ビジネス連携の可能性について
Toshiba Europe
量子コンピューターの技術革新、TOSHIBAのビジネスやR&Dについて
Intralink
日本の商慣習、日英ビジネス連携の実態について
Panel
Moderator from:
Judge Business School, University of Cambridge
Speakers from:
Quantinuum
arm
JETRO
Innovation and Investment Collaboration between Japan and the UK
各社のこれまでの取り組みと、その経験から得た日英ビジネス連携の将来性について
Networking
Cambridge Judge Business SchoolのGround Floor にてワインと軽食と共に登壇者、参加者の皆様とのネットワーキングイベントも開催されました。日英ビジネスに関わる多くのプロフェッショナルの方、Judge Business Schoolの学生等、多様なバックグラウンドの皆様と情報交換を行う事ができました。
ケンブリッジのスタートアップ・エコシステムについて
ケンブリッジのスタートアップ・エコシステムは、世界的に有名な「シリコン・フェン」として知られており、特にテクノロジー、バイオテクノロジー、エンジニアリングの分野で革新をリードしています。ケンブリッジ大学の研究成果が直接スタートアップに繋がることが多く、企業や研究者が密接に連携しています。豊富なベンチャーキャピタル、アクセラレーター、インキュベーターが存在し、スタートアップの成長を強力に支援しています。
また、ケンブリッジはイギリスの「ゴールデントライアングル」の一角を担っています。
「ゴールデントライアングル」とは、ロンドン、オックスフォード、ケンブリッジの3つの都市を結ぶエリアで、特にスタートアップや投資の面でイギリスにおいて非常に重要な地域です。このエリアは世界的な学術機関、研究機関、テクノロジー企業が集中しており、特にライフサイエンス、テクノロジー、AI、バイオテクノロジーの分野で著しい発展を遂げています。豊富なベンチャーキャピタルや政府の支援により、スタートアップの成長が促進されており、これが地域の経済発展を牽引しています。
ケンブリッジ
「シリコン・フェン」として知られ、テクノロジーとバイオテクノロジーのハブとなっており、ケンブリッジ大学がスタートアップ・エコシステムを強力に支援しています。
オックスフォード
ライフサイエンスとバイオテクノロジーに強みがあり、オックスフォード大学から多くのスタートアップが誕生しています。
ロンドン
金融テクノロジー(フィンテック)の中心地であり、多くのスタートアップや投資家が集結しています。
この地域は、研究と商業活動が密接に結びついており、英国のみならず、世界的な技術革新の中心地として重要な役割を果たしています。
ケンブリッジには多くの有名な企業やスタートアップが拠点を置いています。特に技術分野でのリーダー企業として知られているのが「ARM Holdings」で、半導体設計で世界的に影響力を持っています。また、AI研究で注目されているサイバーセキュリティ企業の「Darktrace」や、バイオテクノロジー分野で活躍し、プロテイン研究ツールの製造、流通、販売を行う企業「Abcam」もケンブリッジに拠点を構えています。他にも、Raspberry Piを開発した「Raspberry Pi Foundation」など、革新的な企業や研究機関が数多く存在します。
また、ソフトバンクはケンブリッジに本社を置く「ARM Holdings」を2016年に約240億ポンド(約3兆3000億円)で買収しました。ARMは世界中のスマートフォンに使われるプロセッサー技術の開発で知られており、この買収はソフトバンクがテクノロジー分野での影響力を強化し、IoT(モノのインターネット)市場でのリーダーシップを目指す戦略の一環です。このように、ソフトバンクをはじめ、世界的な企業がケンブリッジを重要な技術拠点として位置づけ、グローバルな技術革新において大きな役割を果たしています。
ケンブリッジのスタートアップ・エコシステムについては下記の記事にて、弊社メンバーが現地でインタビューを行いながら、実際のトレンドについてご紹介しておりますので、ぜひご一読ください。
イギリスのスタートアップトレンド
また、弊社ではロンドン現地に常駐して最新のスタートアップトレンドの調査・分析を行っております。
下記の最新のトレンド記事等もぜひご一読ください。
いかがでしたでしょうか?
今年設立されたCambridge Japan Forumから日英ビジネスに関わる人材の輩出やネットワークが形成されていく事で、よりケンブリッジの多様性とクロスボーダービジネスの拡大が期待されます。また、日本からはまだまだ海外進出や現地企業との連携に多くの課題を残していますが、現地に日本の商慣習に理解のあるコミュニティが存在する事は今後の事業連携の成否において非常に重要になってくるのではないでしょうか。
イギリスでは最新の技術トレンドを紹介する「London Tech Week」、ケンブリッジのエコシステムとの連携を目的とした「CAMBRIDGE TECH WEEK」など、さまざまなカンファレンスやイベントが開催されています。RouteX Inc.は、実際にそういったイベントに国を跨ぎながら参加し、各エコシステムを並行分析しながら、現地企業とのコネクション作りを行っておりますので、欧州全般、もしくは特定の産業に興味がある方は、ぜひお気軽にご連絡いただければ幸いです。
また、弊社では、欧州企業にご興味がある企業様に向けて、M&A戦略の立案、ソーシング支援からPMI支援まで、幅広いM&Aサービスを提供しています。実際に欧州現地に拠点を構えているからこそ、人脈・知見・リソースをフル活用しながら二人三脚でご支援が可能になると考えております。
今後もクロスボーダーM&Aやスタートアップトレンドを始めとした欧州を取り巻くトレンドの動向をタイムリーに捉え、皆さまに情報発信をしてまいります。
弊社は引き続き、スタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。
投稿者:Takayuki Omori
RouteX Inc. Founder & CEO
学生時代にデロイトトーマツベンチャーサポート、Coral Capitalにてスタートアップコミュニティの運営に従事。京都大学経営管理大学院在籍時に学内優秀賞を受賞したビジネスプランを元に2018年 RouteX Inc.を学生起業として創業。海外のスタートアップ・エコシステムのリサーチを専門とし、世界中のスタートアップのビジネスモデルやテクノロジーの分析を行なっている。RouteX Inc. ロシア法人(戦争の影響により撤退)、フランス法人の設立に従事し、海外での事業立ち上げや交渉経験が豊富。現在はロンドンの金融街カナリーワーフ在住、FinTechトレンドを中心に現地でのリサーチ活動を行っている。
海外渡航歴111ヶ国
モスクワ大学政治学修士課程中退
京都大学経営管理大学院同窓会長歴任
京都大学MBA (経営学修士) 修了
今後もRouteX Inc.では引き続きスタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。
RouteXは、
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