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MediaとしてTechsauce Global Summit 2022に現地参加
2022年8月26〜27日の2日間に渡り、タイ王国(以後タイと表記)バンコクにてアジア最大のスタートアップカンファレンスであるTechsauce Global Summit 2022が開催されました。
Techsauceは2012年から開催されており、アジアのスタートアップ・エコシステムを牽引してきた存在として、今年は3年ぶりのオンサイト開催となり、弊社の宮緒がMediaとして参加してきましたので、現地の様子をお伝えします。
はじめに、今回参加にあたってのタイ入国について紹介します。モデルナやファイザーなどの指定ワクチンを特定回数(モデルナとファイザーの場合は2回)接種済みであれば隔離なし、旅行保険なしで入国することができました。また、Techsauceでは提示を求められることはございませんでしたが、その他施設訪問やサミット参加では、入場の際に新型コロナウィルス抗原検査結果の提示がもとめられることが多く、体温チェック装置、消毒液もほとんどの施設入場ゲートに配置されていたことから、感染対策に対する意識の高さを実感しました。
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今回の会場となったアイコンサイアムへは、Grabやタクシーなどの交通手段に加え、BTSのサパーンタークシン駅近くの船乗り場から無料の定期船で向かうことができます。
バンコクの複合施設はラグジュアリーなところが多く、今回のTechsauce開催場所となったアイコンサイアムもまさにそのひとつです。写真右にそびえたつマンションは一部屋5億円ほどする富裕層向けマンション(コンドミニアム)となっており、アイコンサイアムと同じ開発プロジェクトによって建設されました。リバーサイドのアイコンサイアムは夜になるとライトアップされ、噴水ショーも定期的に開催されるため、観光スポットとしても有名です。
さて、久しぶりのオンサイト開催となったTechsauceですが、今年は1万以上の参加者、500以上の投資家、400以上のジャーナリスト、300以上の講演者、100以上のスタートアップ、そして50ヵ国以上から参加者が集まりました。
開催テーマに関しては、新たに環境問題や気候問題を取り扱うClimate Techと、量子や宇宙関連を取り扱うDeep Techが加わりました。また、従来からの強みである農業や食糧産業についても多くのスタートアップがブース出展しており、「Climate Tech」、「Deep Tech」、「Culture Transformation Corporate Innovation」、「Fintech&DeFi」、「Metaverse」、「Health&Food」、「Startup&VC」、「Smart City&Smart Living」、「AI&Data」、「NFT&Digital assets」全10テーマの技術やサービスについて展開されます。
タイのスタートアップにおけるテーマごとの強みやトレンドとして、Fintech、DeFi、NFT、 Digital assetsやメタバースなど、Web3.0に関連する技術が非常に注目されており、その背景として政府からのサポート、タイ大手銀行との積極的連携、そして大手企業CVCからの投資支援などが理由として挙げられておりました。
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Techsauceは以下7種類で構成され、2日間にわたりイベントが進行します。
1.Business Matching
会場8階のスペースで、あらかじめ予約した時間&メンバーとディスカッションを実施し、人脈形成やビジネスチャンスの獲得を目的とします。
2.Workshop
ビジネススキルや、AI技術トピックなど多岐にわたるスペシャリストによるワークショップで知識を広げることができます。
3.Tech Showcase Stage
スタートアップ展示ブースで各種サービスや最新技術について議論や、ネットワーキングすることができます。
4.Techsauce Awards 2022
ピッチイベントで優勝したスタートアップ、さらには活躍した投資家や女性リーダーなどを対象とした表彰式が行われます。ただし、招待された方のみが参加できるアワードとなっております。
5.Speed Dating
Techsauce参加者を対象とした、ともだち、恋人探しのマッチングイベントです。20歳以上のTinderユーザーを対象としております。
6.Experience Zone
フォトゾーンや、ミニゲームゾーンなど真剣なイベントのみならず、参加者が楽しめるゾーンもあります。
7.Graphic Recording
それぞれのセッションにおけるキーワードやハイライトを絵にしたポスター展示を楽しむことができます。
スタートアップや組織成長に必要な「Blitzscaling」
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オープニング直後には、Chris YehとLinkedin創業者Reid Hoffmanにより、今後のスタートアップ成長に不可欠となる、「Blitzscaling」に関するスピーチが行われました。このキーワードはReid Hoffmanによって提唱された考え方で、利益度外視、急速な規模拡大の重視、発見的問題解決に重きを置き、意思決定方針をビジネスの場面で見つけ、学ぶ(そして解決する)ことを意味しており、どの企業や組織もビジネスのために安定成長に甘んじず、どの瞬間にも課題やニーズ変化を察知し、利益度外視で意思決定しなければならないと、ビジネスにおいて変化に即座に対応することの重要性を再認識できるセミナーでした。Reid Hoffmanは動画のみでの参加でしたが、彼の登場もあって会場は非常に盛り上がりました。
スタートアップ&企業出展ブース
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続いて、会場のほとんどを占める展示ブースの様子についてご紹介します!
展示ブースはアイコンサイアム7Fに位置しており、本エリアに入場する場合のみ毎度体温チェックが行わておりました。展示ブースの多くはタイ大手企業、スタートアップ、インキュベーション施設、タイ政府関連機関で構成されておりますが、その他として日本、香港、ポーランドの政府関連機関もスタートアップ誘致や、連携に向けた機会を模索すべく出展しておりました。
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はじめに、タイにおけるNFTに関するスタートアップや事業会社について紹介していきます。CoralはNFTアートの売買、クリエイト、管理を提供するプラットフォームを事業としており、大きな特徴として仮想通貨ではなく、法定通貨決済による購入に制限しております。また、マーケットをタイに限定していることも興味深く、大手銀行KBanKと連携することで、タイ通貨によるクレジットカード購入を可能としています。
Coral 担当者によりますと、アートの価値上昇をもたらすセカンドマーケットでの売買は想定しておらず、おすすめもしないとのことでした。タイでは国内著名人や富裕層による購入が多く、寄付金として購入することで節税対策として活用されることが多いようです。
このようにタイでは国内に特化したデジタル通貨や、それら通貨の公式認定事業者が存在するおかげで、タイ政府はこれらを管理しやすく、不利益にならない環境を整えることができたのです。これがまさに、タイ政府が積極的に支援を開始した理由であり、そのおかげでNFTやDeFiなどのスタートアップの発展が加速しました。
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作品はNational Artistでタイ王国公認アーティストによるものばかりで、かなり高価であることも特徴です。
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Token Xは大手銀行Siam Commercial Bankが生まれ変わったSCBXの子会社で、ICOポータル事業会社としてCoralのICOポータルライセンスも発行しています。SCBXは2億人の顧客基盤を構築することを目標に2025年までに銀行から金融フィンテック企業としてグループ構造を大きく変更した最大手銀行のひとつです。
ICO事業会社が電子トークン提供者として中間に位置し、安全性を約束する媒体として機能することで、タイは国内限定の仮想通貨、つまり「タイのデジタル通貨」を認証することができます。
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SCG(The Siam Cement Group Public Company Limited.)はタイで知らない人がいないほどの最大手セメント製造企業で、多様な事業を展開しております。展示ブースでは、上空からランドスケープ情報を収集する機能によって、自然界や災害時の動物や人間の捜索活動に活用できるドローンや、その他製造業の安全を守る製品などが展示されておりました。
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ドローンはDJI製を使用しており、カメラ、スピーカー、ライトと通信機のセットがSCG製品となっておりました。カメラで失踪した人物の捜索、人物検知した際に呼びかけるためのスピーカー、夜間でも捜索できるよう、かつ失踪者へ存在をアピールするためのライトが2つ、そして情報伝達するための通信機器の3つがセットとして付いております。
ドローンバッテリーは上記機能とセットで使用すると35分程度維持できるとのことですが、一般のドローンに比べると短く、写真右にある開発したドローン充電ドッグによって、ドローンのバッテリー切れが生じる前にバッテリーごとを交換することで長時間運用を実現する仕組みになっております。
しかし、課題もいくつか存在しており、そのひとつにDJIドローンに対してのみバッテリー交換していることと、価格が高価であることがあげられます。なんとドッグが付属しないドローン本体だけでも100万円ほどの価格で販売されており、技術&価格面においてまだまだ改善を進めているとのことでした。
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香港、ポーランド、日本の貿易関連機関が出展しており、ポーランドと香港はタイのスタートアップの自国への進出サポートを提供、日本はジェトロが主体となって日本のスタートアップのタイへの進出や連携を主な目的とした出展をされておりました。香港は人口密度が高く資源が限られていることから、一部では就職難のイメージがございますが、優秀な人材やスタートアップについては、減税やビザなど優遇措置を提示し、積極的な誘致を実施したいと担当者からお話を伺うことができました。
一方で、ASEAN地域の中でもGDPが高いタイでのスタートアップカンファレンスとしては、各国からの貿易関連機関の出展が意外と少ない印象を受けました。
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ガソリンスタンドとしてだけでなく、カフェやショッピングモールなどを併設する取り組みを20年前から実施しており、今後の電気自動車(EV)化による充電の待ち時間問題を、PTT事業サービスの併設施設を有効活用してもらうことで、ユーザーの不満を解消し、さらにはサービスを実際に使っていただくことで展開促進させていく意図があるようです。
また、CVCとしてスタートアップ支援を充実させていくことで、PTT事業内容のさらなる拡大をめざしています。
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True Digital Park(TDP)は、Trueというタイの移動通信会社が中心として展開されているタイのイノベーションハブであり、本サミットのスポンサーでもあります。タイ政府関連機関のNIA(国家イノベーション庁)が支援していることもあり、ピッチやインキュベーションイベントなど多くのスタートアップ関連イベントが開催されます。また、その他エリアは複合施設となっており、デパート、オフィスやコワーキングスペースなどがございます。
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しかし、現状はオフィスビルにほとんど企業ははいっておらず、デパート、Trueのコワーキングスペースとストアのみが機能している状況です。今年後半から来年にかけてリモート勤務からオフライン勤務に移行するにつれて、徐々に企業がオフィスルームを構えるようになるそうです。
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ジェトロは、主に東南アジアへの展開を視野に⼊れている「J-Startup」を中⼼としたスタートアップを主導して、ブース出展しておりました。ジェトロのサポートは手厚く、展⽰会来場者との商談機会も別のビジネスマッチング会場で支援しておりました。
ジェトロブースで展示できる参加企業は、事前にアクセラレーターなどによる審査結果を総合的に勘案して決定され、人工知能による位置情報分析プラットフォームを提供するレイ・フロンティア株式会社やグリーンテックベンチャーのPEEL Labなど8社が出展しておりました。
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タイ国内旅行に関連するサービスをパッケージ提供するスタートアップです。このような国内旅行に特化したアプリサービスを提供するスタートアップがその他にも多くみられました。
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産業、家庭に対するエネルギーや電力に関するソリューションを提供するスタートアップです。具体的には工場における節電対策、クリーンエネルギー発電システムの構成などに関してソリューション提供していました。
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ユーザーの好みをAI分析することで、各ユーザーにあった家具や生活用品などをパッケージで提案、さらには生産者と繋げるプラットフォームを提供するスタートアップです。
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エッジデータやAIをビジネスに応用するソリューションを提供するスタートアップです。AIチャットbotで、各VRプラットフォームにおけるキャラクター生成技術のデモを実施しておりました。
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pergoはオフィス用品のサブスクサービスを展開しており、高額で高品質なセイルチェアが月額800バーツ、ワーキングデスクも2500バーツと、リーズナブルな価格でレンタルすることができます。
今後タイでスモールスタートするスタートアップは現地オフィスを構える際にぜひ検討してみてください。
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HUBBAはタイバンコクにあるインキュベーションで、ハッカソンや、アクセラレーター、ビジネスマッチングなど、タイのスタートアップやこれから立ち上げを実施するチームへの支援を提供しています。また、Google for Startupsのサポートも受けていることからスモールスタートのスタートアップの登記用オフィスとしてもおすすめです。担当者によると、タイはここ数年、コロナによる影響が大きく、アーリーステージの資金集めに難航するスタートアップが多く、起業メンバーの一部が安定のために大手企業へ就職してしまうことがよくあるとのことでした。
DeepTechにおける量子技術とWeb3.0の発展
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QTFT(Quantum Technology Foundation Thailand)はタイバンコク発の量子技術スタートアップで、2022年2月にはシード期で100万ドルほどの資金調達に成功しており、メディアでも多く取り上げられております。QTFTは量子技術のみならず、デジタル技術の上で成り立つ量子技術と解説しており、それらを包含するエンジンとしてSORを開発することで、デジタルと量子技術の融合を実現しています。タイではDeepTech関連のスタートアップに対する関心や注目が強いだけではなく、政府関連機関からの支援も手厚く、海外から帰国した博士学位を有する優秀なメンバー、海外からのDeepTechスタートアップやハイテク人材も積極的に誘致をしているようです。
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近年の話題となっているDeepTechのDAOについてもセミナーが多く開催されておりました。DAOの歴史やこれまでの発展、DAOの種類のお話は初心者でも理解しやすく、具体的に有名どころとして、ConstitutionDAO、BlockBuster DAOのお話以外に、DAOは株式会社の役割のみならず、コミュニティとしても非常に期待されるなど、我々に近い社会まで応用が近づいていることを実感することができました。
<ConstitutionDAO>
アメリカ合衆国憲法の原本をオークションで落札するために立ち上がったDAOで、独自トークンのPEOPLEを発行 しておりましたが、現在はConstitutionDAOのコアメンバーによる活動が終了しています。
<BlockBuster DAO>
映画レンタル事業買収のため、分散型ストリーミングサービス構築のDAO
<その他コミュニティDAO>
Social DAO、Science DAO(DeSci)、Territorial DAO、Causes DAOなど
タイにおける「脱炭素社会」の動き
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脱炭素といえば、近年日本では企業でもカーボンニュートラルに貢献できる取り組みやサービス開発が急務となっているように、タイでも非常に注目されております。ただ「Net Zero」や「Negative Emission」という「カーボンニュートラル」とは異なるキーワードで話題になることが多いです。またその中で、脱炭素化やNet Zeroを考慮するときは、サプライチェーン全体での削減が必須となってきており、自社による温室効果ガスの直接排出や間接排出だけでなく、調達、製造、物流、販売、廃棄などの各段階における排出もあわせて「サプライチェーン排出量」と捉えています。そのため、タイ石油公社(PTT)などの大手エネルギー関連企業はサプライチェーンで関連する企業に対して、コストゼロで脱酸素に向けた改善方法や技術を共有するといった取り組みも進めているようでした。
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写真のGC Circular Living Symposium 2022 は今回参加のTechsauceとは別のシンポジウムになりますが、先ほど少し紹介したタイ石油公社による電気自動車(EV)導入計画、海上ソーラーパネル、メタバースを活用したゲーム形式のカーボンニュートラル教育や、アップサイクルなど具体的な取り組みが紹介されておりました。このように定期的に関連企業を招待して、今後の脱炭素に対する意識の共有を進める活動などが積極的に行われております。
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脱炭素に関する取り組みとは少しはずれますが、環境に優しく健康にいい飲食をバイオロジーテクノロジーで実現するスタートアップも多く出展されておりました。タイではこのようなエコフレンドなフードテックも注目分野のひとつです。
野菜から作られたバーガーなどは、予想に反し一般のそれと変わらず美味しくいただけました。バイオダイバーシティというキーワードのように、人間にとって優しい地球のみならず、動物や虫にも優しい世界つくりというコンセプトを実感することができます。
タイと近隣諸国ASEANにおけるスタートアップ・エコシステム
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タイの500、「500 TukTuks」などのVC・CVCが登壇するセミナーでは、タイや近隣諸国インドネシア、ベトナム、シンガポールのスタートアップ成長に必要な要素についてディスカッションが行われておりました。具体的には投資やスタートアップの資金調達状況、さらにはVC&CVCとスタートアップとの関係性のありかたについても興味深いお話を伺うことができました。ディスカッションからは、タイのスタートアップのアーリーステージにおける投資課題が多く言及され、スタートアップ側にとって不利な契約が多いために途中で挫折してしまうことが多いようです。また、根本的にエンジェル投資家による該当ステージへの投資も不足しているといったことも、タイ バンコクのスタートップにおける課題として説明されていました。このようにタイ バンコクでは、VCとスタートアップの連携に改善の余地があり、まだまだスタートアップ・エコシステム発展のチャンスがあることがわかります。
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Techsauceの閉会式&アワードの待ち時間では、座席チケットと同時にポップコーン券が配布され、映画館のスタッフからアメリカンサイズのドリンクとポップコーンをいただきました。待合室もラグジュアリーな空間となっており、改めて富裕層向けサービスに感銘を受けました。(値段も実はかなりリーズナブルなため、高校生も多く映画を観にきておりました。)
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昼間ビジネスマッチングを実施していた会場が、夕方からデートマッチングの会場になりました。条件は、20歳以上のTechsauce参加者&Tinder登録者であることのみ!実際に5分という限られた時間内で男女が1対1で交流する様子は、日本のテレビでみる婚活と大きく変わりはありませんでした。
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会場奥の8Fに位置し、作業スペース、インターネット環境、ドリンク、軽食などが用意されており、Media参加として非常にありがたい場所でした。
また、近場にVIPや講演者に用意されたラウンジが位置するため、インタビューしやすい場所でもあります。
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スタートアップ、投資家、VCや活躍した女性リーダーなどさまざまなテーマごとに表彰が行われました。(アワードは招待のみで、タイ語で実施されました。)また、閉会式も兼ねており、Techsauce Media リーダーのOranuch Lerdsuwankijのスピーチでは3年ぶりのオフサイト開催の成功にほっとし、涙するシーンもありました。
タイにおける女性リーダーの活躍
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タイでは女性リーダー、先端技術や大手企業でバリバリ働く方が非常に多いことは、タイでお仕事されたことない方にとっては意外なことかもしれませんが、事実です。そういった意味では真のダイバーシティを実現しているといえるかもしれません。子育ての問題はありますが、意外にも結婚してはいるが、子どもがいない夫婦、子どもが必須ではない考えの夫婦が多いことに驚きました。つまり、結婚後に出産という既成概念がなく、女性でも多くが30代以降で結婚されているとか。
また、タイでは屋台や外食文化が盛んで安価であるため、ほとんどキッチンを使わずに過ごすことが多いことも女性の社会進出の背景として想像できます。加えて祖父母と暮らす方も多いため、子育てを任せて仕事に専念できるのもいいですね。
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会場「アイコンサイアム」の紹介
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会場としてアイコンサイアム7、8Fが使用されましたが、その他エリアではアパレルのセレクトショップ、ハイブランドショップ、そしてレストランやカフェなど非常に多様な店舗をもつ複合施設になっています。APECも開催される会場として使用されるため、今後も国際会議などでは頻繁に訪れる場所となるでしょう。
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タイ王国のスタートアップ・エコシステムについて
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いかがでしたでしょうか?
Techsauceの様子を通してタイのスタートアップ・エコシステムの盛り上がりを感じていただけたのではないかと思います。今回の現地でのヒアリング等を通じて感じたタイのスタートアップ・エコシステムの特徴として
- ECやFinTechが確実に成長しており、DeepTechやFoodTech、さらには環境にやさしい脱炭素をめざすNetZeroに対する注目度や政府による支援が増加している。
- タイランド4.0政策によるEEC経済特区を政府主導で進めており、優遇措置によって外資を惹きつけている。
- 国内のスタートアップ人材、特にエンジニアが不足しており、欧米で経験を積んだ優秀な人材がスタートアップ・エコシステムを牽引している。多くの国内優秀人材は依然、大企業に就職する傾向にあり、コロナでより一層強まった。
- 近隣諸国のシンガポールやインドネシアと比較するとエコシステムは小さいが、GDPが大きいためまだまだ成長の余地がある。
- タイのスタートアップのアーリーステージを支援する投資や、まだ研究段階にあるDeepTechを支援するエンジェル投資が不足している。
等が挙げられるかと思います。高度人材を対象としたスマートビザではスタートアップ人材向けにも発行されており、Deck(スタートアップがVCや事業会社に投資してもらうためのピッチプレゼン資料)をはじめとするいくつかの書類を準備&手続きすることで、比較的簡単に取得することができます。会社が立ち上がる前にも、きちんとビザを取得して営業活動ができることは非常にありがたいですね!このようにタイでは一部の産業で外資制限がありつつも、積極的にスタートアップや外資誘致を進めていることがわかります。
RouteX Inc.では引き続きスタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。
RouteX Inc.との協業やパートナーシップにご興味のある皆様はお気軽にお問い合わせください。
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投稿者:宮緒 ディフェイ
学生時代、ナノテクノロジーなどの基礎研究に従事していた際に、最先端技術が一部の研究者や専門家の間だけで議論され、世の中に出回ることが少ないことに課題を感じ、在学中にサイエンスコミュニケーターとして活動をはじめた経験をもつ。大学院時代に訪れたバンコクのラグジュアリーデパートーや、マンションに魅了されことをきっかけに、タイ王国における最先端技術にも興味をもちはじめる。
現在は、大手通信企業の研究開発部門で働きながら、RouteXでは主にASEAN諸国のスタートアップ・エコシステムのリサーチを担当している。
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