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皆さんはオランダにどのような印象をお持ちでしょうか?

オランダは人口1000万人程度と他の西欧諸国に比べて国内市場が小さいため、オランダ企業は必然的に世界のマーケットを視野に入れてきました。これまでRoyal Dutch ShellやUniliver、Philips、Heinekenといった世界的な大企業を生み出しています。

また、企業にとって有利な法人税制によって、直近ではTeslaやUberがヨーロッパのHQをオランダに置くなど、多国籍企業が集まりやすい環境があります。

そして、近年オランダは首都アムステルダムを中心にヨーロッパの中でも急速に成長を続けているスタートアップエコシステムの一つとなっており、世界中からその注目を集めています。

またオランダ国内に13しかない、研究施設をもつ大学には、かねてより国内外から優秀な人材が集まりますが、特に近年では高度な研究技術を生かした大学発スタートアップをブランディングする動きを各大学が積極的にみせています。

ヨーロッパ4カ国のスタートアップエコシステムの比較はこちらからご覧いただけます。

今回、郊外に位置するアムステルダム大学の研究機関・Amsterdam Science Parkに隣接する、スタートアップ支援施設・Startup Villageを訪問しました。

本記事では、高度な人材を輩出する大学の研究機関と現地のベンチャーキャピタルが密に連携し、スタートアップエコシステムを形成する施設の様子について、現地で撮影した写真を交えて紹介します。


テクノロジーに根差したイノベーションを加速するStartup Village

Startup Villageは、Amsterdam Science Park発の技術をスタートアップへ昇華することを目的として、高度なテクノロジーや科学技術を有しているスタートアップに対して手頃な家賃でスペースを提供することを目的に、2016年に設立されました。

こちらからイノベーションの種を迅速に社会に対して生み出していくことを目指しています。ちなみにテクノロジーを有していないスタートアップはこちらに入居することはできないようです。

Startup Villageは、Amsterdam Science Parkの他、アムステルダム大学発のスタートアップに対して投資するために1992年に作られたVCであるUvA Ventures Holdings、そして現地の建築事務所であるJulius Taminiau Architectsが主導して作られました。

建設当時より、大学のスタートアップの成長を加速するためには施設が必要だというアイデアがあったようで、この思想からも大学発スタートアップに対する大学側の熱量がうかがえます。

こちらの動画ではStartup Villageの様子が紹介されています。大学発ならではの若者の文化が入り混じる活発な雰囲気がわかるかと思います。

またStartup Villageの特徴を示すものとして、入居するスタートアップのことをホームページ等で”Villager”と呼んでいることからも伺えます。

ただ仕事場を借りるだけではなく、事業の急激な成長を目指すスタートアップを村人としてコミュニティ化し、積極的なサポートを実施していくことが発信されています。

Credit: Startup Village

また、こちらでは内部に入居している”Villager”と、それらをサポートするパートナーが紹介されています。

2020年5月現在では、大学のインキュベーターであるACEをのぞくと28の企業が入居していることがわかります。分野はAIやブロックチェーンを用いたスタートアップが多い他、IoTやHealth-Techなど多岐に渡っています。

最も特徴的なのは、コンサルティング企業であるDeloitte発のサービス・DocQMinerおよびRegMinerがそれぞれStartup Villageに居を構えていることです。これは入居している他のスタートアップを通じてサービスの実証をおこなうことが主目的だと考えられ、大企業のオープンイノベーションの場としてもStartup Villageが利用されていることが伺えます。


実際のStartup Villageの様子

ではここから実際に現地で撮影したStartup Villageの写真とともに、その様子を紹介します。

前述の通りStartup Villageはアムステルダム大学のScience Park内にあります。Science Parkには基本的に高い建物はなく、低層の建造物の中には研究室等が入っています。

建物同士もそこまで密接しておらず、非常に開放的な空間が広がっています。

Science Parkと道を挟んで向かい側にStartup Villageが広がっています。一見すると企業の倉庫群のようにもみえます。実際にStartup Villageの企業用のオフィスは中古の海上コンテナを積み重ねたものが利用されています。

このデザイン自体が国内外から高い評価を得ている他、新しいオフィススペースを中古コンテナを用いて作ることで、環境に対する持続可能性を外部に発信する意図があるようです。

実際に近づいてみると大小様々、カラフルな海上コンテナが積み上がっていますが、外壁がガラス張りになっていたり、様々な形で加工がなされています。

コンテナにはそれぞれスタートアップの名前が入っています。中には各々のサービスや学術的な成果、中には求人に関するポスターを貼っているスタートアップもあります。

2016年のオープン以降入居希望企業の増加でStartup Villageは2倍の大きさになりましたが、その際は既存のコンテナの上にコンテナを重ねる形で拡張されたようです。

2階の部屋には後から付けられたと思われる階段を使ってアクセスすることができます。

コンテナ内部のスペースもまた綺麗にリノベーションされており、通常のコワーキングスペースと同じ形で利用することができます。オフィスとして借りる場合には3種類の大きさから選べる他、ミーティングなど単発での利用も可能です。

Startup Villageの文字がペイントされたコンテナが積み上げられています。

敷地の中心部にはビジター用のカフェが設置されており、誰でも利用可能となっています。

中はとてもおしゃれな空間となっており、カジュアルにミーティングをしたり各々が個人作業をしています。

カフェ内の掲示板には、Startup Villageで行われるイベントやセミナー・アクセラレーションの告知、またスタートアップによる求人情報が掲載されています。

敷地内で一際大きい施設が、Startup Villageの設立を主導した大学発のVC・UvA Venturesのコンテナです。UvA Venturesはテクノロジーに根差したスタートアップを投資対象とし、主に大学や国を元手として組成されたファンドを運用しているようです。

内部にはEvent Spaceを有しており、200名以上の参加者を収容できるようです。

Startup Villageのほど近くには、ICAI(Innovation Center for Artificial Intelligence)というアムステルダム大学が作った、AI分野の技術開発と人材育成を目的とした機関のオフィスも設置されています。ICAIを通じて大学発のテクノロジーをスタートアップにスピンアウトさせ、イノベーションを加速させています。直近ではAI Startup Labという、学生やスタートアップを対象とした10週間のアクセラレーションプログラムをICAIが主導して実施しているようです。こちらにはDeloitteや、オランダの大手投資銀行ABN AMRO、ベルギーのメディア大手DPG Mediaがプログラムを提供しています。

AI Startup Labが2020年度に実施するアクセラレーションの紹介動画はこちらからご覧いただけます。

これらから、大学発の技術をスピンアウトした際の受け皿としてもStartup Villageは機能しており、大学と大手企業、そしてVCをはじめとする投資家がこの場所で密に連携することができるスタートアップエコシステムが存在するといえます。


いかがでしたでしょうか。

国内の規模が小さいオランダでは、オープンな文化を生かして対外的に様々な多国籍企業を国内に誘致するとともに、大学から人材やテクノロジーをスタートアップとして対内的に育成し、世界に輩出するシステムが周辺諸国と比べても発展しているといえます。

RouteX Inc.では、ヨーロッパのスタートアップエコシステムに関する調査を引き続き進めてまいります。記事として現地の様子を発信しておりますので、詳しくはこちらをご覧ください。
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