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記事一覧 > SDGsとスタートアップ
~確かな一歩で大きなインパクトを~

2015年から国連主導で進められている持続可能な開発目標(SDGs)。
特に最近日本国内でも耳にする機会が増えました。

実は既に取組期間の3分の1を終え、様々な地域・分野においてこのアクションの成果が徐々に報告され始めています。

今後も環境や人道支援に対する意識と共にSDGsに関する活動の拡大、加速が期待されている中、スタートアップ企業がこの目標の達成に大きく貢献しています。

こちらの記事では、そのようなSDGsを意識している世界のスタートアップを、国連が掲げている17の項目別ごとにご紹介します。

SDGsとは?

「SDGs」とは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として
2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは、「発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものである」と、日本外務省公式HPでも謳われています。

(画像:国際連合広報センターより)

SDGsを意識しているスタートアップ企業

1.貧困をなくそう

こちらの項目でご紹介したいスタートアップ企業は、ロンドンで立ち上げられたbeamです。
beamは、クラウドファンディングによって集められた資金(全額)を、同都市に住むホームレスの職業訓練や資格取得に利用しています。
ホームページ上では寄付を必要としている人々が紹介されており、
寄付者は応援したいと思う特定のホームレスに寄付をするか、もしくはbeamに登録しているホームレス全員に同額ずつ支援することができます。
寄付者は、自分の支援が受給者にどのようなインパクトを与えているのか、受給者がどのような努力を行っているかを定期的な報告によって知ることができます。

beam公式HP

2.飢餓をゼロに

こちらの項目では、Indigo Dronesをご紹介します。
Indigo Dronesはドローンと情報処理技術によって農業従事者を支援するコスタリカの企業です。
地図作成と作物のモニタリングに特化したドローンによって収穫量を増加させる・肥料の過剰供与を含む無駄を抑止するなどの効果が確認されています。
こうした問題が一般的である熱帯地域では特に役に立ち、無駄をなくすことで農業従事者の収入を増やすことにもつながります。

Indigo Drones公式HP

3.すべての人に健康と福祉を

こちらの項目では、ノルウェー発のスタートアップ企業Braive focusesをご紹介します。オンラインで認知行動療法を提供しており、世界中からのアクセスが可能で、個人個人の要求に応じて様々なプログラムを受けることができます。
ストレスの多い環境に置かれている、もしくは精神的な悩みを抱えている患者を助けることを目的としています。

Braive focuses公式HP

4.質の高い教育をみんなに

こちらの項目では、日本発のスタートアップ企業FREE UNIVERSITYをご紹介します。
FREE UNIVERSITYは、幼児教育から高等教育に至るまでの学習や、スポーツや音楽、職業教育を含めた幅広い分野の授業を無料で配信する学習プラットフォームです。
子供だけではなく大人も対象にした授業も配信し、開発途上国向けの教育プログラム配信が計画されているなど、まさに場所や年齢を問わず、文字通り「みんなに」教育の機会を与える企業です。

FREE UNIVERSITY公式HP

5.ジェンダー平等を実現しよう

スペインで設立されたPequeños Amos de Casaというスタートアップ企業は、家事を通して共同責任(co-responsibility)とジェンダー平等を若い世代に教えています。
成長過程で無意識のうちに醸成されるジェンダーに関する偏見をなるべく持たせない、もしくは払拭させるために、親や学校に対してシンプルで力強いアプローチを提供しています。
この教育を受けた子供は家庭や社会でのジェンダー問題に対する態度にも影響を与えるため、世代を超えた相互的なインパクトが期待できます。

Pequeños Amos de Casa公式HP

6.安全な水とトイレを世界中に

こちらの項目ではDropというスタートアップ企業をご紹介します。
Dropは、南アフリカ中の食料品店にWaterpodという給水機を設置することを目的としています。
安全でない水を摂取することによって死者が出ていることやペットボトルが環境を汚染している現状、そしてペットボトル飲料水を生産する企業が莫大な業績を上げていることに疑問を抱いた創業者が、地球にやさしく人体に安全な水を提供することを目的に起業しました。
Waterpodはリアルタイムかつオンラインでモニタリングが可能で、フィルターの管理や問題が発生した際の迅速な対応を可能にしています。

Drop公式HP

7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

Collective Energyというスタートアップは、オーストリアのエネルギー事情の転換を目指しています。
転換とは、再生可能エネルギーへの移行と(限られた大企業ではなく)共同出資のプロバイダーによるエネルギー供給の実現を指しています。環境に考慮した発電装置の売り手と買い手をクラウドファンディングによってつなげる事業を展開することによって売買に関する支出を減らし、環境負荷の少ない製品の普及に貢献する企業として注目されています。

Collective Energy公式HP

8.働きがいも経済成長も

Andelaは才能のある労働者が性別や国籍などを理由に国際的な労働市場で競争できないことを問題視し、機会の不平等を埋めるための活動を行っています。
ナイジェリアで始まったAndelaは現在国内外を問わず様々な企業からの信用を得て多くの人のキャリアを支えています。

Andela公式HP

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

SterblueはAIを用いて産業基盤の管理を容易にすることを可能にしたアメリカのスタートアップ企業です。
例えば鉄塔や風力発電機の老朽箇所や欠陥の確認のために使用するドローンやヘリコプターの動きを効率化し、調査でより多くの情報を得ることで管理と分析を充実させる効果を得ることができます。

Sterblue公式HP

10.人や国の不平等をなくそう

カザフスタン発のSOL Surdo-Onlineは、AIを用いたソフトウェアによって聴覚障がい者の手話を音声化し、健常者と円滑にコミュニケーションをとることを可能にしました。
健常者の感覚で整備されている社会の中で日々苦労を強いられる聴覚障がい者がより多くのサービスを簡単に受けることができるように開発を重ねています。

11.住み続けられるまちづくりを

フランスのスタートアップ企業Everimpact.comは、
①地上での調査と衛星からのデータによって依頼主の温室効果ガスの排出について調査し、
②CO2の排出量を下げる機会・方法を提唱し、
③依頼者が努力しているプロジェクトを排出量取引によって収益化することを助けるという3つの活動を行っています。
すでにいくつもの都市や企業と連携しており欧州委員会からも認められている組織です。

Everimpact公式HP

12.つくる責任 つかう責任

カルフォルニアを拠点とし、バリで製造を行っているindosoleというスタートアップ企業は、廃タイヤからサンダルをつくっています。
大量に放置されている廃タイヤは、単に環境を破壊するだけではなく、熱帯諸国では蚊の繁殖地となり感染症の原因にもなっています。
さらに蓄熱火災により有毒物質が発生します。廃タイヤを再利用することでこれらの問題を解消しようと取り組み続けているindosoleは2014年にB-Cordとして認証されました。

indosole公式HP

13.気候変動に具体的な対策を

イギリスのスタートアップ企業Cervest.earthは、AI、地球、人間の意思の3つを繋げて気候変動へのアクションを起こしている企業です。
今や世界中の経済、社会、環境の脅威となっている異常気象に関するデータをAIを利用して作成し提供することで、この問題に対する有効な方策を打つためのサポートを行います。

Cervest.earth公式HP

14.海の豊かさを守ろう

イギリスのスタートアップ企業ellipsis.earthは、年間1000万トンも海に流れ出すプラスチックごみの傾向やホットスポットを見つけ、その情報とプラスチック汚染への対処法を公開することをミッションとしています。
ellipsis mediaという独自の媒体を通じた発信を積極的に行っており、啓発活動にも熱心です。

ellipsis.earth公式HP

15.陸の豊かさも守ろう

ドイツ発のスタートアップ企業apic.aiは、生態系の多様性を守るためにミツバチをバイオセンサーとして活用し、彼らの巣に取り付けたカメラに捉えられた画像とAIを使用した分析によって対象地域における植物の多様性や昆虫類の生活環境に関する見識を得ています。
生物多様性の減少は生態系だけではなく人間やその他の動物の食糧不足や生活の質の悪化にも直結する深刻な課題であるため、apic.aiが得た見識を政策立案者や組織の意思決定者と共有することは陸の豊かさを守ることに役立ちます。

apic.ai公式HP

16.平和と公正をすべての人に

車両を停止させた職務質問中に殉職する警官がいる一方で、警官の乱暴な態度により傷つく運転手も存在します。
交通量の多い場所での職務質問は事故につながる可能性もあります。
アメリカのスタートアップCheckは、職務質問によって引き起こされるストレスやトラブルを軽減もしくは防止するためのアプリを開発しました。
このアプリを使うことで画面越しの職務質問が可能です。
警官は職務質問中にデータベースを開いて対象者を調べることができ、運転免許証や交通違反の切符など書類のやりとりもスムーズに行うことができます。
職務質問の動画は裁判の際の証拠にもなるため安全性と公正が実現します。

Check公式HP

17.パートナーシップで目標を達成しよう

国際連合をはじめとして、Googleなどの大企業やFounder Instituteなどの支援団体が、ビジネスコンテストを実施や企業間の協力を後押しするプログラムを始めています。

いかがでしたでしょうか。

今回取り上げさせていただいた企業はSDGsの中の一部になりますが、世界中でスタートアップ企業が積極的に取り組んでいることがお分かりいただけたと思います。

世界の課題やニーズに敏感で行動力に優れたスタートアップ企業は、今後SDGsの達成のためにさらに重要な存在になるでしょう。

SDGsに力を入れているスタートアップ企業が知りたい方は、ぜひお問合せください。

投稿者:外山 夏帆
東京外国語大学ロシア地域専攻在学。
日露学生団体、大学公認サークルЛюбовьなど複数の団体に所属。
株式会社LikePayでのインターンを経験。
学業の傍ら大学公認の大使「TUFSアンバサダー」として広報活動を始めとした中高生と在校生を繋ぐ活動に従事。
また高校時代の留学経験を活かして英語講師のボランティア活動を実施中。

RouteX Inc.では引き続きスタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。
RouteX Inc.との協業やパートナーシップにご興味のある皆様はお気軽にお問い合わせください。