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記事一覧 > 借金はヤミ金ではなく「Creditspring」で

金融庁によると、現在の日本の利息制限法の上限金利は、貸付額に応じ15%~20%と定められており、これを超過すると民事上無効となります。しかし、信用力の低下などを理由に通常の金融機関から借りられなくなってしまった人の中には、「ヤミ金」と呼ばれる金融業者に頼り、上限利息を超える金利での違法な貸付の元に借金をしてしまうこともあります。

英国の「Creditspring」は、そうした従来の金融機関から締め出されがちな借り手に対して、手頃で透明性の高い短期ローンを提供するスタートアップです。この革新的な貸し付けモデルは、高コストであったり、違法であったりする貸し手に頼らざるを得ない状況から借り手を救う「生命線」として機能しています。

今回はこの「Creditspring」の戦略や日本市場での応用について、Fintech Allianceの記事を元に考察します。


脆弱な家庭に寄り添う新しい貸し付けモデル

2023年から2024年にかけて、「Creditspring」の貸し付け実績は著しく成長しました。2024年上半期だけで約223,000件のローンを提供し、貸付額は前年同期比82%増の£95m(約155億円)に達しました。設立以来、累計で約40万人のメンバーに£360m(約588億円)以上を貸し付けており、100万件以上のローン提供という大きな節目を迎えました。

引用:Creditspring

この急成長の背景には、インフレや生活費の上昇による家計への圧迫があります。記事によると、英国では成人の28%が「これまでで最も財政的に不安定」と感じており、21%が全く貯蓄を持っていない状況です。さらに、18-34歳の若年層の5人に1人が請求書の支払いのために信用に頼らざるを得ない実態があります。


革新的な金融支援ツールの導入

「Creditspring」は単なる貸し付けサービスにとどまらず、利用者の金融状況改善を支援する取り組みも行っています。2023年第4四半期に開始された「Benefits Finder(給付金検索)」ツールは、その代表例です。

このツールは、ユーザーが受給資格がありながら請求していない給付金を見つけ出すことができます。すでに76,000人以上のメンバーがこのツールを利用し、その84%が未請求の給付金の存在を発見しました。驚くべきことに、このツールは累計£720m(約1,176億円)以上の未請求給付金を明らかにし、個人平均で月額£930(約15万円)の追加収入の可能性を示しました。

「Creditspring」のCEO兼共同創設者であるNeil Kadagathur氏は、「インフレは低下しているが、何百万人もの人々が、頼れる貯蓄のクッションもなく、生き残るために信用に頼るしかない危険な財政状態のままである」と現状を分析しています。


日本における責任ある貸し付けの可能性と課題

「Creditspring」のモデルは、日本の金融市場への適応も十分に考えられます。日本でも、特に若年層や低所得者層において、安全で手頃な短期ローンへのアクセスは限られています。「Creditspring」のような透明性の高い信用サブスクリプションサービスは、日本の消費者金融市場に新たな選択肢をもたらす可能性があります。

しかし、日本での実施には課題もあります。まず、日本の金融規制は英国とは異なるため、「Creditspring」のモデルをそのまま適用することは難しいでしょう。また、日本特有の文化的背景、例えば「借金はとにかく悪いこと」と考えるような借金に対する社会的スティグマなどもビジネスモデルの調整を必要とするかもしれません。

さらに、「Benefits Finder」のような給付金検索ツールについては、日本の社会保障制度に合わせたカスタマイズが不可欠です。日本では未申請の給付金問題も指摘されており、このような支援ツールは大きな価値を持つ可能性があります。

「Creditspring」の成功は、テクノロジーを活用した金融包摂(フィナンシャル・インクルージョン)の重要性を示しています。日本においても、従来の金融機関では対応しきれないニーズに応える新たな金融サービスの登場が期待されます。

スマホひとつで完結するデジタルバンク「みんなの銀行」はその走りの一つだと言えそうです。

会社概要|みんなの銀行
引用:みんなの銀行

責任ある貸し付けと金融教育を組み合わせたアプローチは、日本の金融市場に新たな風を吹き込む可能性を秘めています。

参考記事:Responsible lender Creditspring hits one million loans as it provides affordable lifeline to vulnerable households

※本記事には、AIが生成した文章、画像等が含まれています。


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投稿者:近藤 碧

京都大学経済学部経済経営学科在学(-2025.3)。ゼミではスタートアップの経営戦略に関するリサーチ・研究に取り組んでいる。2023年9月より、京都大学大学間学生交流協定に基づく交換留学生としてKoç Universityに派遣され、半年間トルコのイスタンブールに滞在した。2022年よりRouteXでインターンシップを開始し、業界リサーチから海外スタートアップの日本進出支援まで幅広い案件を担当。趣味は愛車のバイク(S1000RR ‘21)に乗ることであり、他大学のバイク部にも加入している。


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