「APRON」は、中小企業(SMB)向けの革新的な決済プラットフォームを提供するスタートアップです。2021年の下半期に「Revolut」の元プロダクトリーダーであるBogdan Uzbekov氏によって設立された同社は、SMBのオーナーと会計士が数秒で請求書の受け取り、分類、承認、支払い、照合を行えるようにすることを目指しています。
そして設立から約3年目の2024年9月、同社は日本円にして400億円以上の資金調達を行いました。
今回はこの「ARRON」の事業内容と今後の展望について、tech euの記事を元に考察します。
中小企業の決済プロセスを革新する「APRON」
「APRON」の特徴は、サプライヤー、購入者、会計士が相互に円滑かつシームレスに支払いを管理できる「タウンスクエア」アプローチにあります。このアプローチにより、SMBは支払いの手配と追跡に費やす時間と労力を大幅に削減し、本来の事業活動に集中することができます。
また、「APRON」は独自の決済プラットフォームを通じて、顧客が従業員やサプライヤーなど、世界中の誰にでも支払いを行えるようにしています。さらに、「Xero」や「Quickbooks」などの既存の会計ツールとも容易に統合でき、即時の支払い照合を可能にしています。
3,000万ドルのシリーズB資金調達で加速する成長
「APRON」は、2024年9月に3,000万ドル(約486億円)のシリーズB資金調達を実施しました。この投資ラウンドは、「Checkout.com」の創業者が後ろ盾となっている成長段階に特化したテクノロジーファンドである「Zinal Growth」が主導しました。また、既存投資家の「Index Ventures」と「Bessemer Venture Partners」、さらにはiPodの発明者で「Build Collective」のプリンシパルであるTony Fadell氏も投資家として参加しています。
この資金調達は、「APRON」の急速な成長を反映しています。2023年9月に1,500万ドル(約243億円)のシリーズAを確保して以来、「APRON」が提供するSMB顧客数は20倍以上に増加しました。現在、数千の請求書と数百万ドルの支払いが毎日「APRON」のプラットフォーム上で行われています。
Zinal GrowthのマネージングパートナーであるLuca Schmid氏は、「私たちは、『APRON』がSMBオーナーがよく知っている重要な痛点を解決し、支払いの管理を効率的で楽しい経験にしていると信じている」とコメントしています。
B2B決済の未来と「APRON」の展望
「APRON」の成功は、B2B決済分野における大きな変革の兆しを示しています。従来、中小企業の決済プロセスは非効率的で時間がかかるものでした。実際、「tech eu」によると、平均的なSMBオーナーは請求書の発行、支払い、管理、およびそれらに関連する事務作業に、労働時間の最大20%を費やしているといわれています。
「APRON」のようなプラットフォームは、このような非効率性を解消し、中小企業のキャッシュフロー管理を大幅に改善する可能性を秘めています。特に、英国では5社中4社以上の中小企業がキャッシュフローの問題で失敗しているという現状(「tech eu」より)を考えると、その重要性は明らかです。
今回の資金調達により、「APRON」は2025年までのロードマップに記載された重要なマイルストーンの達成に向けて、エンジニアリングおよびプロダクトチームを拡大する予定です。具体的には、大規模サプライヤー向けの新製品の立ち上げや、SMB向けに調整された手頃で利用しやすい経費管理ソリューションの市場投入などが計画されています。
一方で、日本市場への展開を考えた場合、いくつかの課題が予想されます。例えば、日本の中小企業における電子決済の普及率は欧米に比べて低く、従来の振込取引が依然として一般的です。また、会計関連のクラウドサービスは豊富に存在しているものの、移行コストを嫌ったり、高齢化が進んでいたりすることなどを理由に、会計システムの電子化も遅れている企業が多いため、「APRON」のようなプラットフォームの導入には時間がかかる可能性があります。
一方で、日本政府はデジタル化を推進しており、中小企業庁が推進する中小企業のIT導入補助金なども充実してきています。このような背景から、「APRON」のようなB2B決済プラットフォームが日本市場に参入する機会は今後増えていくと考えられます。日本の中小企業の業務効率化とキャッシュフロー改善に貢献する可能性は大いにあるでしょう。
参考記事:APRON raises $30M Series B for SMB payments tech
※本記事には、AIが生成した文章、画像等が含まれています。
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投稿者:近藤 碧
京都大学経済学部経済経営学科在学(-2025.3)。ゼミではスタートアップの経営戦略に関するリサーチ・研究に取り組んでいる。2023年9月より、京都大学大学間学生交流協定に基づく交換留学生としてKoç Universityに派遣され、半年間トルコのイスタンブールに滞在した。2022年よりRouteXでインターンシップを開始し、業界リサーチから海外スタートアップの日本進出支援まで幅広い案件を担当。趣味は愛車のバイク(S1000RR ‘21)に乗ることであり、他大学のバイク部にも加入している。
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