skip to Main Content

記事一覧 > 「Yonder」が変える次世代クレジットカード体験

先日筆者は、大手家電量販店のヨドバシカメラで、新作のiPhoneを予約しました。そのときに取り出したヨドバシカメラのゴールドポイントカードには、「ポイントカードは、ヨドバシカメラが初めに考案したシステムです」という文章が記載されていました。実際に日本で初めてバーコードを用いたポイントカードを導入したのは、ヨドバシカメラだとされています。

このポイントシステムは現在、日本に限らずあらゆる場面で用いられており、英国のFinTechスタートアップの「Yonder」もこのポイントに注目した企業の一つです。2021年に設立された同社は、若手プロフェッショナルと在外駐在員をターゲットに、ポイントに関連するユニークな報酬プログラムを提供しています。

今回は「Yonder」の特徴とEUへの展開、さらには日本の市場に参入すると仮定した場合について、siftedの記事を元に考察します。


英国発、ポイント還元に特化したフィンテック「Yonder」

「Yonder」の特徴は、クレジットスコアの構築や後払いサービスではなく、ポイント還元に焦点を当てていることです。特に地元のレストランや独立系商店での体験を重視し、AmexAviosカードなどの既存のプレイヤーとは異なるアプローチを取っています。

Yonder Credit Card | Your Card-Shaped Key To The City
引用:Yonder

CEOで共同創業者のTim Chong氏は、「クレジットカードを使って都市の最高のものを解放し、同時にクレジットとの健全な関係を築く方法」を重視していると述べています。この理念のもと、「Yonder」は現在英国の5つの都市で2万人以上のユーザーを獲得しています。

また最近では航空業界の大手ブランドとの連携も進めており、カタール航空とはすでに提携関係にあります。


EU市場への拡大を視野に入れた新たな資金調達

「Yonder」は最近、€27.3m(約44.3億円)の資金調達を完了しました。この資金調達ラウンドは、グローバルVCファームの「RTP Global」と「Repeat(旧「Jigsaw」)」が共同主導し、「LocalGlobe」の姉妹ファンドである「Latitude」も参加しています。

この資金調達により、「Yonder」の企業価値は€116.7m(約189.3億円)を超えたとされています。これは、2023年4月の前回の資金調達時の€81.7m(約132.5億円)から大幅に上昇しています。

Chong氏によれば、今回の資金調達が収益性達成前の最後のラウンドになる予定だといいます。「これ以降は独立して運営できるようになります」と彼は述べています。

「Yonder」は現在、EU市場への拡大を視野に入れています。新しい市場での製品のローカライズを加速するため、AI翻訳ツールの使用も検討しているとのことです。また、来年末までに現在の45人のチームを約60人に増やす予定で、そのうちのいくつかは最初の進出国に拠点を置く可能性が高いとしています。


新たな挑戦と課題

「Yonder」の今後の展開として注目すべきは、AIツールの活用です。同社は、「Spotify」や「Netflix」の様式で、アプリの使用方法に基づいてレコメンドを行うAIツールの実装を検討しています。これと航空会社との連携を進めることで、単に利用時にポイントを還元するサービスだけではなく、ユーザーの旅行計画をサポートし、目的地での滞在先、食事、観光スポットなどをガイドする機能を提供する予定です。

日本市場での展開を考えた場合、文化的な違いや既存の金融システムとの整合性など、独自の課題が生じる可能性があります。日本では現金決済の割合が依然として高く、クレジットカードの利用率は欧米に比べて低い傾向にあります。そのため、ポイントカードやポイント還元というシステムは極めて一般的であるものの、「Yonder」のようなポイント還元型のサービスが後発で生まれて、かつクレジットカードに限定した場合に日本市場でどれだけ受け入れられるかは不透明です。

一方で、日本でもキャッシュレス化が進んでおり、特に若年層を中心に新しい金融サービスへの関心が高まっています。「Yonder」のような革新的なアプローチは、日本の金融サービス市場に新たな風を吹き込む可能性も秘めています。

実際の例としては、2024年の5月までに累計約50億円を調達した「ナッジ株式会社」が挙げられます。2020年に設立された同社は「日本におけるチャレンジャーバンク」を目指しており、スマホ完結型の「次世代クレジットカード『Nudge』」を提供しています。特に日本の文化の一つである「推し」に対して、「Nudge」のカードを用いることで応援することができるのも魅力の一つです。

次世代クレジットカード「Nudge(ナッジ)」にバーチャルアーティストグループ「V.W.P」のクラブが誕生 | ナッジ株式会社
引用:Nudge

「Yonder」の今後の展開、特にAIの活用と国際展開の成否は、FinTech業界全体に大きな影響を与える可能性があります。今後のさらなる展開の可能性も含め、その動向に注目が集まっています。

参考記事:Exclusive: Credit card fintech Yonder raises £23.4m as it eyes EU expansion

※本記事には、AIが生成した文章、画像等が含まれています。


いかがでしたでしょうか?
RouteX Inc.では引き続きスタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。
RouteX Inc.との協業やパートナーシップにご興味のある皆様はお気軽にお問い合わせください。

投稿者:近藤 碧

京都大学経済学部経済経営学科在学(-2025.3)。ゼミではスタートアップの経営戦略に関するリサーチ・研究に取り組んでいる。2023年9月より、京都大学大学間学生交流協定に基づく交換留学生としてKoç Universityに派遣され、半年間トルコのイスタンブールに滞在した。2022年よりRouteXでインターンシップを開始し、業界リサーチから海外スタートアップの日本進出支援まで幅広い案件を担当。趣味は愛車のバイク(S1000RR ‘21)に乗ることであり、他大学のバイク部にも加入している。


今後もRouteX Inc.では引き続きスタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。

RouteXは、
海外の先進事例 × 自社のWill による事業開発の高速化
によって、事業会社における効率的な事業開発を実現します。

本件も含めた質問や支援依頼に関する問い合わせは、以下のフォームよりご登録ください。