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記事一覧 > 仏スタートアップ企業Kinomapがパリ五輪にコネクテッドマラソンを提供

引用:Unsplash

2024年の7月26日に開幕したパリ五輪、そこにとあるサービスを提供するのが、フランスの新興企業、「Kinomap」です。

同社はフランスのDouaiに本社を構え、パリにも拠点を置くインタラクティブな屋内トレーニングアプリケーションの開発会社です。

今回はこのスタートアップが、パリ五輪にどのような価値を提供しているのかを見たのちに、今後の課題についても触れながらを、Maddynessの記事を参考に考察します。


映像効果×有酸素運動のトレーニングサービス

先述した「インタラクティブな屋内トレーニングアプリケーション」とは、具体的にはユーザーが自宅でエクササイズを行う際に、リアルタイムで映像やデータに基づくフィードバックを受けながら、トレーニングを楽しむことができるアプリケーションのことを指します。

これにより、ただ自宅やトレーニングジムで単調な動作を行う従来の運動方法と違い、より効果的なトレーニング体験を提供することが可能になっています。

引用:Unsplash

彼らのミッションは、屋内トレーニングの単調さを打破し、多様なコンテンツを通じて運動体験を豊かにすることです。

現在、「Kinomap」は170か国以上で50,000以上の地理ローカライズされた映像を提供しており、有酸素トレーニング市場の主要企業の1つとして、年15-20%の成長率で急成長しています。

そしてこの「Kinomap」社がパリ五輪に提供するのが、コネクティッドマラソンです。


パリ五輪で魅せるコネクテッドマラソンの革新性

2024年のパリ五輪に合わせ、「Kinomap」は史上最大規模のコネクティッドマラソンを企画しています。

コネクティッドマラソンは、同社が培ったテクノロジーとフィットネスの融合により、新しい形のマラソン体験を提供する革新的なイベントです。

この形式のマラソンは、参加者が自分の好きな場所で走ることを可能にし、リアルタイムで屋内からデータを共有し合い、他のランナーと競い合うことができます。

また、「Kinomap」のプラットフォームを介して、参加者は自宅のトレーニング環境と実際のマラソンコースを連動させることができ、まるでパリの街を走っているかのような臨場感を得ることができます。

引用:Kinomap

この新しい競技形式は、従来のマラソンが持つ距離や時間、場所の制約を超え、より多くの人々に参加の門戸を広げることを狙っています。

また、参加者のフィードバックをリアルタイムで反映させることも可能であるため、コネクティッドマラソンは、よりインタラクティブで社会的な連携の要素を持った新しいスポーツイベントとして、未来のマラソンのスタンダードとなる可能性を秘めています。

このイベントは、パリ五輪最終盤である8月10日と11日に実施され、世界中のアマチュアからプロフェッショナルまで、あらゆるレベルのアスリートが参加することが可能です。

「Kinomap」のアプリケーションを使用することで、参加者は屋外でも屋内でも、オリンピックの公式コースを体験することができます。


技術的課題と今後の展望

自宅やジムでのトレーニングで没入感を提供するデバイスやサービスは国を問わず存在していますが、特に今回の「Kinomap」の取り組みは、オリンピックにサービスを提供し、地球上全体をまとめるイベントを運営する必要があるという点で非常に野心的だと言えます。

その分、来るイベントに向けてはいくつかの課題が考えられますが、特に大きいのは技術的な側面です。

実際にパリの街を走っているような臨場感を提供するためには、高度かつ複雑な映像やデータ処理が必要であり、それを安定的に行うためのインフラ整備が求められます。

また、インタラクティブな屋内トレーニングアプリケーションであれば同時性はそこまで求められませんが、今回のイベントのように相当な規模で競争が行われるとなると、通常の参加者が使用するデバイスとアプリケーション間のシームレスな連携も同時に求められます。

そうした課題を克服したうえで待ち受けるのは、「未来のマラソンのスタンダード」になりうるかという問題です。

従来使われているものが使われなくなり、新たなものが主流になるには、後者が絶対的な複数の観点で優位性を持つか、前者の上位互換である必要があります。

確認する限りでは、「Kinomap」が提供する映像はスマホ等の画面を通じてユーザーに提供されています。そこに機器を接続することで、ランニングマシンやエアロバイクの角度や傾き、抵抗に変化を加えることができます。

今後は、例えばVRやAR等を用いて没入感を強化することで、マラソンのために外に出る手間は省きつつも、外を走っているのかのような臨場感をよりユーザーに提供することができる、というような動きも検討されるかもしれません。

特に世界中どこでも、素材となる映像さえあればマラソンコースにすることが可能であるという点は、通常のマラソンにはない特徴であり、これだけでもニューノーマルとなる可能性は十分にあると言えるでしょう。変化の多いSportTechに限らず、現状のサービスを塗り替えていこうとするスタートアップを見ていく際、特に重要な視点になります。

参考記事:JO de Paris 2024 : comment Kinomap organise le plus grand marathon connecté de l’histoire


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投稿者:近藤 碧

京都大学経済学部経済経営学科在学(-2025.3)。ゼミではスタートアップの経営戦略に関するリサーチ・研究に取り組んでいる。2023年9月より、京都大学大学間学生交流協定に基づく交換留学生としてKoç Universityに派遣され、半年間トルコのイスタンブールに滞在した。2022年よりRouteXでインターンシップを開始し、業界リサーチから海外スタートアップの日本進出支援まで幅広い案件を担当。趣味は愛車のバイク(S1000RR ‘21)に乗ることであり、他大学のバイク部にも加入している。


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