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記事一覧 > 中南米スタートアップの資金調達最新情報(2021年10,11月)

2021年10月後半から11月中旬の中南米スタートアップの資金調達最新情報のうち、特に注目すべき7社を一挙にご紹介します。

中南米ではブラジル・メキシコの存在感が大きいですが、最近はチリやアルゼンチンなど他国のスタートアップの台頭も見られ、中南米全体のエコシステムの成長が感じられます!

ラテンアメリカ全体で調達額の大型化が見られるなど、ますます勢いが増しており、今後も要注目のマーケットです!

先月のラテンアメリカにおける資金調達情報はこちらからご覧いただけます。

Stori(メキシコ):2億ドル

引用:Stori(ストリ)

メキシコシティを拠点とするフィンテック企業のStori(ストリ)は、GGV CapitalGICが共同でリードし、General CatalystGoldwater Capitalなども参加する、2億ドルのシリーズCラウンドの資金調達を実施しました。なお、ラテンアメリカで最大規模のシリーズCラウンドの 調達額となります。

Storiは、「メキシコで増えつつある中流階級向けの主要クレジットカード発行者になる」という目標を掲げており、2021年2月のシリーズBから8ヶ月間で、すでにメキシコでの新規クレジットカード数がトップとなっています。
200万人以上のメキシコ人が同社のクレジットカードに申し込んでおり、その数は過去12ヶ月間で10倍以上に増加しています。

また、メキシコシティ、ワシントンDC、アジアにオフィスを構え、すでにグローバルに展開しています。

同社は、今回の資金調達により、メキシコ市場への投資と新商品の発売を行い、売上規模を3倍にすることを目指しています。

Frete.com(ブラジル):2億ドル

引用:Frete.com(フレテ ドット コム)

ブラジルのサンパウロを拠点とする、物流テックのFrete.com(フレテ ドット コム)は、SoftbankTencentが主導する2億ドルの資金調達を実施しました。
なお、この資金調達により、同社はユニコーン企業の仲間入りを果たしました。

Frete.comは、ラテンアメリカで最大のトラック運送マーケットプレイスで、スマートテクノロジーとソフトウェアソリューションにより、道路貨物輸送における、トラックの高い空車率、安全性の欠如、極端な官僚主義などの非効率性の解決を目指しています。

同社のプラットフォームでは、デジタルソフトウェアを用いて、荷主や運送会社がオペレーターを雇用する際の安全性や生産性の向上を支援しています。また、デジタルダッシュボードにより、ペーパーワークを削減し、リアルタイムのモニタリングにより貨物と輸送業者の両方の安全性を高めることを可能にしています。

同社は現在、前年比約90%の成長を遂げており、ブラジル全土で615,000人以上のトラックドライバーが登録しており、これはブラジルのトラック保有台数の40%に相当します。

今回の資金調達をもとに、新技術への投資とキャリアやトラックドライバーの増加に伴う事業の拡大に充てる予定です。

Mundi(メキシコ):1億ドル

引用:Mundi(ムンディ)

ニューヨークを拠点とし、メキシコを中心に国境を越えた貿易のための金融サービスプラットフォームを提供するMundi(ムンディ)は、シリコンバレー銀行から、1億ドルをデットファイナンスで調達しました。
なお、2021年2月にもFJ LabsBase10から総額780万ドルのエクイティファイナンスで調達しています。

Mundiの金融サービスプラットフォームでは、企業が顧客に支払い条件を提示してグローバルな貿易を行うことで、顧客は国際的な支払いを即座に受け取ることができます。また、デフォルトリスクを負うことなく、運転資金へのアクセスを増やしてビジネスを成長させることが可能です。

過去1年間でメキシコの輸出業者から3200件以上の申し込みがあり、Covid-19によるパンデミック以来、毎月平均47%の成長を遂げています。

今回の資金を活用して、メキシコで新たに1,000社以上の中小企業へのアプローチを進めていく予定とのことです。

Fintual(チリ):3900万ドル

引用:Fintual(フィントゥアル)

チリのサンティアゴを拠点とするフィンテック企業のFintual(フィントゥアル)は、Sequoia Capitalが主導する3900万ドルの資金調達を行いました。
また、2021年7月にもKaszek Venturesを中心に1500万ドルの資金調達を行っています。

Fintualは、若いプロフェッショナルが簡単に長期投資を行えるよう支援することで、金融の民主化を目指すスタートアップです。同社の提供するオンラインプラットフォームでは、株式から取引所まで、さまざまな投資オプションを顧客に提供しています。

なお、世界的に有名なインキュベーターY Combinatorに採用された唯一のチリのスタートアップで、2018年の設立以来、指数関数的な成長を遂げていることから、将来的にはユニコーンとして浮上することが期待されています。

現在、7万人以上の顧客の資産を管理しており、その額は推定6億6500万ドルに達します。
今後3、4ヶ月で、チリとメキシコでの運用資産が10億ドルに達し、2022年末には約20億ドルになるとCEOのPedro Pineda氏は述べています。

現在はチリがメインの市場ですが、2020年にメキシコで事業を開始し、ファンド販売会社のInvermericaを買収しています。
今後1~2年のうちにメキシコをメインの市場にすることを計画しており、今回の資金調達はその事業拡大に充てられる予定です。

Justos(ブラジル):3580万ドル

引用:Justos(フストス)

ブラジルのサンパウロを拠点とするインシュアテックのJustos(フストス)は、Ribbit Capitalがリードする3580万ドルのシリーズAラウンドの資金調達を実施しました。

Justosは、データを利用して保険料を決定するブラジル初の自動車保険会社で、顧客のスマートフォンに接続することで、運転データを収集し、リスクのレベルを評価することで保険の価格設定に役立て、保険のプロセス全体を改善することを目指しています。
同社によると、従来の保険会社よりも最大で30%安い保険プランを提供できるとのことです。

同社は2021年5月に280万ドルのシードラウンドを実施し、製品が未発売にもかかわらず、地域内の著名なエンジェル投資家の関心を集めました。すでに1万2,000人の顧客候補がウェイティングリストに登録されているとのことです。

今回の資金調達をもとに、プラットフォームの開発を継続するとともに、チームに新たな人材を採用する予定です。

Pomelo(アルゼンチン):3500万ドル

引用:Pomelo(ポメロ)

ブエノスアイレスを拠点とするフィンテック企業のPomelo(ポメロ)は、1000万ドルのシードラウンドを発表してからわずか5ヶ月で、ラテンアメリカ最大級のシリーズAラウンドとなる3500万ドルを調達しました。

今回のラウンドは、Tiger Global Managementがリードし、monasheesIndex VenturesInsightなどのほか、AffirmCheckoutN26などの創業者たちが参加しました。

Mercado PagoMastercardNaranja Xの元幹部によって設立されたPomeloは、フィンテックをはじめとするハイテク企業が、APIプラットフォームを通じて金融サービスを自社のビジネスに組み込むことを可能にしています。
その結果、コンプライアンスに準拠したオンボーディングプロセスの構築、地域の金融システムに接続されたバーチャルアカウントの立ち上げ、デビットカードやクレジットカードの発行などを地域全体で行うことができます。

また、同社は、規制に関する重労働のほとんどを顧客に代わって行うため、顧客は市場投入までの時間を短縮し、自社の価値提案に集中することができます。

今回の資金調達により、現在事業を行っているアルゼンチンに加え、ブラジルとメキシコへの事業拡大を行うとともに、チームの拡大を進める予定です。

Houm(チリ):3500万ドル

引用:Houm(ホウム)

チリのサンティアゴを拠点とする、不動産テックのHoum(ホウム)は、コンシューマー・インターネット企業に特化した最大のVCであるGoodwater Capitalと、FifthWallが主導するシリーズAラウンドで、3500万ドルを調達しました。

Houmは、住宅所有者が従来の方法に比べて「最大10倍の速さ」で物件を貸したり売ったりできるオンラインサービスを提供しています。
「不動産のUber」と呼ばれ、家主と借主の間で直接長期リースを行うことに特化しており、借主は担保が不要で、仮に借主が支払いをしなくても毎月家主への支払いが保証されています。

特徴的なのが、不動産業者ではなく、「Houmers」と呼ばれる自営業者が仲介役として、物件の販売や賃貸の準備、管理を行っていることです。「Houmers」は、自分が手がけた物件が売れたり、貸し出されたりするたびに収入を得ることができる仕組みとなっています。

同社は今回の資金調達をもとに、現在事業を展開しているメキシコ、コロンビア、チリの3カ国で新たに15都市に進出し、従業員を350人から3倍に増やす計画を立てています。

投稿者:大谷 奈々
オーストラリア滞在中に仲良くなったコロンビア人からレゲトンミュージックやサルサダンスを教わったことからスペイン語圏の文化に興味を持ち、スペイン語の学習を始める。
現在は、大手コンサルティングファームで人事コンサルタントとして働きながら、RouteXでは主にスペイン語圏のスタートアップエコシステムのリサーチを担当している。

RouteX Inc.では、南米諸国をはじめ、世界のスタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。
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