株式会社S’more(スモア)の代表を務める韓 慶燕(カン ケイエン)さん。
自身でも「犬バカ」と呼んでしまうくらい、本当に愛犬のフリルちゃんを愛していて、取材中もそんな二人の信頼関係が幾度となく感じられました。
今回は、そんな韓さんに日本で起業した経緯やこれからの夢について語っていただきました!
<プロフィール>
株式会社S’more (スモア)代表取締役社長兼CEO
韓 慶燕(カン ケイエン)
1991年生まれ
国立法人北海道大学心理学科卒 / 大阪大学院経済学科研究科修了
リクルート、Baytdanceを経て2021年1月に株式会社S’more(スモア)を創業
Q. 株式会社S’more(スモア)さんのビジネスモデルは?
――犬のお鼻には縞模様があり、これが人間の指紋と同じく、その犬が持つ世界で唯一のものになっています。弊社のサービスでは、この鼻紋を用いて、犬の個体識別を行っています。
具体的にどのように応用するかというと、例えば、飼っている犬が急に迷子になった時などに、スマートフォンでお鼻をスキャンするだけで、犬の名前を分かるようにしたり、飼い主に連絡することが出来ます。また、事前に病気や薬の名前を入力することによって、保護した際に素早く診断してあげることも出来ます。
Q.今まではどのように飼い主を見分けていたのですか?
――主に2つの方法があり、一つは、リードに付けている名札や鑑札で見分ける方法、もう一つは、体の中にマイクロチップを埋め込む方法です。
一般的には前者の名札を付けるケースが多く、マイクロチップの方法は実は今普及率が10%強しかありません。主な理由としては、注射器で異物を身体に入れるのはやはり痛そう、というのと、まだごく一部ではありますが、副作用を懸念している飼い主さんが多いためです。
この鼻紋で見分けるのは本当に新しいアイデアなのですね。技術が進んできているのでそのようなことが可能になったのですね。
――今、海外ではフィジビリが始まったところで、日本ではこれからになります。
マイクロチップなどは専門の機械で読み取る必要がありますが、皆さんがいつも持ち歩いているスマートフォンを使って手軽に早く犬の識別が出来るというのが弊社のサービスの特徴です。
Q. 起業したきっかけは?
――元々一人暮らしで今の愛犬フリルと暮らしていて、家族で飼うよりも不便に感じることが多く、以前からペットのサービスを立ち上げたい、ペットと暮らしやすい社会にしたいと思っていました。
今回鼻紋認証に出会ったきっかけですが、たまたま昨年家で昼寝していた時に警報機が鳴って、急いで外に逃げた際に、とっさにスマートフォンと犬のフリルだけ抱えて逃げました。それは誤報だったので何ともなかったのですが、その時に思ったのが、家にいるときはリードなど何もつけておらず、そのまま外に出た時に急にはぐれたりしたらどうやって見つけたら良いのだろう…と怖くなりました。そして犬の個体識別について色々調べていたところ、この鼻紋認証という技術を知りました。
やはり災害の時など心配ですよね。とっさに「逃げなきゃ!」という気持ちが優先するので色々持っていこうと思えないですからね。
Q.そもそもワンちゃんを飼い始めたのはどうして?
――当時、私は大学院試の準備をしていて、私の場合は後期日程だったので、周りの人は就職が決まったり自分の進路が定まっている人が多く焦っていました。そんな時に元々フリルの飼い主と知り合いで、最初は癒しのために借りただけでした。しかし飼い始めてからお互いに離れなくなり、結果もらって自分が育てることになりました。
Q. 韓さんは日本で留学もして就職もされたということですが、そもそも日本に来たきっかけは?
――元々心理学が勉強したくて、心理学だったら哲学だから文系だと思ったのですが、中国では医学部の中に心理学が入っていて理系でした。それでも心理学を勉強したいと思い、文系でも心理学が勉強できる日本に行こうと思いました。
Q. そしてそのまま日本が気に入ってくださって就職を経て起業されたということですが、このサービスを日本でやろうと思ったのは?
――今、日本では災害がとても多く、 弊社でもSNSで鼻紋を集めているのですが、犬を飼っている皆さんも災害に対する懸念がとても高いです。
また日本はスマホなどを使用したITリテラシーも高いので、サービスの可能性を感じました。あまり知られていませんが、日本は世界で2番目に大きいペット市場を持っています。なので、ペットのサービスも需要が高いと思い、日本での展開を考えていました。
Q. ちなみに中国のペット事情はどうですか?
――この2,3年間ですごく変わってきていて、日本の20年前のような状態だと思いますが、仕事で独立する人もが増えていてメンタルが疲れているために、裕福な方や若者たちを中心にペットを飼い始める人が増えています。成長率はなんと70%です!
ただ中国のペット事情の特徴としては、飼育しやすい猫がメインではあります。しかし、総体的にペットを飼う人の数が増えているので犬に対して費やす費用は増えています。
では最後に、このS’moreを通して成し遂げたいことを教えてください!
――現在は鼻紋認証で災害時の対応などのサービスをしていますが、会社として目指しているのは日本で最大のペットのプラットフォームです。なぜかというと、飼い主の需要や市場はそれぞれ異なっているので、そのニーズや問題を全部まとめて企業の方に共有したりして、最終的には飼い主さん同士のコミュニティを作るなど、日本をもっとペットと暮らしやすい社会にしたいと本気で思っています。
ありがとうございました!
韓さんのご活躍に益々期待です!
今回ご紹介した株式会社S’more(スモア)についてはこちらをご覧ください!
▶現在、クラウドファンディングにも挑戦中です!
インタビュアー:中村 有紗
幼少の頃より習っていたバレエがきっかけで大学時代からロシア語を勉強し始める。
日ロ学生交流会やモスクワ留学を通してロシアにどっぷり浸かり、卒業後は防衛省でロシア語通訳を務めた。
その後弊社と事業提携している株式会社LikePayで広報・PRを務めたことからインタビュアーとしても活躍。
様々な人と話してその人の魅力を引き出すことが好きです!
RouteX Inc.では、世界のスタートアップ・エコシステムの現地調査を行っており、このような起業家へのインタビューを通してスタートアップとの連携強化に動いております。
是非インタビューさせていただけるスタートアップの方を募集しておりますので、下記のお問合せフォームよりご連絡ください。
RouteX Inc.では引き続きスタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。
RouteX Inc.との協業やパートナーシップにご興味のある皆様はお気軽にお問い合わせください。