はじめに
フランスは2013年から始動した「La French Tech」を皮切りに様々なスタートアップ政策が打ち出されており、国家主導でスタートアップの盛り上げを図っています。特にユニコーンについて言及すれば、2019年にマクロン大統領が提唱した「2025年までに25のユニコーンを創出する目標」は2022年1月に3年早く達成しました。
※政策の具体的な内容についてはこちらの記事をご参照ください。
本記事では、確定値および多くの考察がなされている2023年上半期のデータを基に、グローバルおよびフランスにおけるスタートアップの資金調達状況をなぞった後、フランスで生まれたすべてのユニコーンを紹介させていただきます。
2023年上半期におけるスタートアップの資金調達状況(グローバル・フランス)
まずは全体感を抑えるために、グローバルの2023年上半期のVC投資額をご紹介します。REUTERSが伝えたところによると、VC投資は世界全体でほぼ半減し、投資額は前年同期比48%減の$1,739億で、欧州においても前年同期比69%と大きな落ち込みでした。
グローバルでは厳しい落ち込みを記録した一方、フランスは「比較的緩やかな落ち込み」と言えます。
dealroomによると、2023年上半期におけるフランスのスタートアップの資金調達額は、前年同期比57%減の$48億(€43億)でした。また同資料では、フランスが上半期のVC投資額で欧州第3位、世界第6位にランクされており、EUだけで調達資金の4分の1を集めていると述べられています。
Ernst & Youngのレポートを基に、もう少しフランスの2023年上半期の状況を見ていきたいと思います。
業種別では、クリーンテック・セクターは、€12億・60件(金額76%増、件数26%増)で初めて首位に立ちました。ソフトウェアは€10億・107件(金額57%減、件数7%増)で2位、ライフサイエンスは数量、金額ともに減少したものの、€6億・37件(金額14%減、件数24%減)で3位につけました。
資金調達を実施したスタートアップの調達額TOP5は、Driveco(2億5,000万ユーロ)、Ynsect(1億6,000万ユーロ)、TSE(4億5,000万ユーロ)、Amyolit Pharma(1億3,000万ユーロ)、Mistral AI(1億500万ユーロ)と続きます。
ステージ別では、特にステージC以上において調達金額および件数の前年割れが大きいことから、前年度と比較して大型調達事例が少なかった状況であると言えます。
地域別にみると、フランスのスタートアップの集積地であるイル=ド=フランス地域圏が調達額の70%近くを占め、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏とプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏がそれに続いています。
フランスにおける2023年上半期は、
①他国と同様に資金調達額は下がるも、欧州においては一定の存在感を保つ
②大型調達事例が昨年と比較して減少
③業種「クリーンテック」だけが、資金調達額・件数ともに前年を上回る
という概況が掴めます。
フランスの全ユニコーン紹介
続いて、現在ユニコーン・スタートアップとして存在する全19社を紹介します。
ここでは、ユニコーンの「評価額$10億以上・設立10年以内で未上場企業」という定義に則り、過去にユニコーンだったスタートアップは含めていません。
2021年、2022年にユニコーンとなったスタートアップも多数含まれていますので、ぜひ各社のHPもご覧になりながら、ご確認ください。
現役のユニコーンスタートアップ
Mistral AI(Artificial Intelligence)
Mistral AIは、MetaとGoogleの研究者によって設立されたAIスタートアップです。提供している大規模言語モデル(LLM)「Mistral 7B」は、73億のパラメータを持つモデルで、すべてのベンチマークでChatGPT 3.5に匹敵する「Llama 2」を上回っています。
2023年12月に評価額が€20B(約$22B)に達し、ユニコーンとなりました。
2023年6月に設立後、半年でユニコーン入りを果たすという偉業を成し遂げており、Open AIに対する欧州の対抗馬として2024年も注目です。
Back Market(EC)
Back Marketは、リファービッシュ品(整備済製品)専門マーケットプレイスを提供するスタートアップです。フランス以外にもアメリカやドイツ、日本を含む18カ国にサービスを展開しています。
電子廃棄物は、実に82.6%が適切にリサイクルされていないと推定されており、地球環境に深刻なダメージを与えています。
欧州におけるSDGsへの関心の高まりも相まり、2022年1月に4億4900万ユーロの資金調達をもってユニコーンとなった際には、フランスで最も評価額の高いスタートアップの1つとなりました。
日本語のページもあるので、ご興味がある方はぜひご覧ください。
Alan(HealthTech)
Alanは、オンライン上で医療保険の加入から請求までを完結できるサービスを提供しています。Alanの医療保険は、保険代理店への手数料が発生しないため、比較的保険料が安くなるという特徴があります。また、個人や企業にオンラインで保険を提供するだけでなく、予約や診断、処方などの医療サービスを受けられるプラットフォームも提供しています。
Alanは、2021年にシリーズDラウンドで1億8500万ユーロを調達し、ユニコーン入りを果たしました。
Spendesk(FinTech)
Spendeskは、法人カード発行と中小企業向けに収支を一元管理するプラットフォームを提供しています。このサービスのユニークな点は、各チームの予算設定と支出管理ができる点と、予算を超えるまでは自動支払い、予算超過した場合には都度承認が必要となるシステムを実装できる点です。また、個人のコーポレートカードと紐づけることで、経費の使用経過をリアルタイムで確認することができます。中小企業における経費処理を簡素化・効率化できるだけでなく、コンプライアンス遵守にも一役買います。
Spendeskは、2022年にシリーズCラウンドで1億1400万ドル(1億ユーロ)を調達し、ユニコーン入りを果たしました。
Shift Technology(FinTech)
Shift Technologyは、保険会社向けに不正検知ソリューションを提供するフランスのスタートアップです。YouGov*の調査によると、2022年にはフランスの保険金受給者の20%が保険金詐欺を働いたことがあると回答しており、保険金詐欺が社会問題化していることがわかります。
既に日本国内にも進出しており、昨年には東京海上日動が同社と開発提携しています。
2021年にシリーズDラウンドで1億8320万ユーロを調達し、ユニコーン入りを果たしました。
Doctolib(HealthTech)
Doctolibは、医師や医療従事者向けのSaaSプラットフォームを提供するスタートアップです。予約、遠隔医療、業務管理などができ、開業医や診療所といった小規模病院から大病院まで、幅広い顧客を抱えています。TechCrunchによると、2020年時点では、30万人の医療関係者がこのサービスに料金を支払い、ヨーロッパでは6000万人が利用していると述べられています。
Doctolibは、2019年に1億5000万ユーロ(約190億円)を調達し、ユニコーン入りを果たしました。
Exotec(Robotics)
Exotecは、倉庫や物流センター向けのロボットソリューションを提供するスタートアップです。同社製品の「Skypod」は、3次元の空間を自由に移動できることが特徴で、商品のピッキングや配列作業などを高速に行うことができます。日本語のページもあるので、ぜひご覧ください。
Exotecは、2022年に3億3500万ドルを調達し、ユニコーン入りを果たしました。
Verkor(CleanTech)
Verkorは、電気自動車(EV)向けの高性能かつ低炭素なバッテリーセルを開発・製造する電気電池のスタートアップです。
2023年9月にシリーズCラウンドで約20億ユーロを調達し、ユニコーン入りを果たしました。
この調達した資金は、ダンケルクに建設される初のギガファクトリーの建設加速とヴェルコール・イノベーション・センター(VIC)で進行中の技術開発を加速させ、新しい製造技術や最先端の新製品を開発することに注力するために活用すると発表されています。ギガファクトリーでは、2025年までに操業を開始させ、短期的には約1200人の直接雇用と3000人の間接雇用を創出することを掲げており、大きな雇用が生まれる兆しが見えています。
PayFit(SaaS)
PayFitは、中小企業向け人事労務のSaaSプラットフォームを提供するスタートアップです。同サービスの特長は、給与計算における多くのステップを自動化することができる点で、法規制が変更されても自動でロジックが変更される仕組みになっています。これにより、同社HPでは人事労務業務の80%の時間を削減できると謳われています。
2022年に2億8900万ドル(2億5400万ユーロ)のシリーズEラウンドを完了し、ユニコーン入りを果たしました。
Voodoo(Gaming)
Voodooは、スマートフォン向けゲームを提供するスタートアップです。皆さまも一度は広告等でVoodooのゲームを見たことがあるのではないでしょうか?
これまで多くのヒットゲームを生み出しており、累計70億ダウンロード、MAUは1億5,000万人に上ります。
Voodooの成功の秘密については、弊社X(旧Twitter)で過去に紹介したことがありますので、ぜひこちらをご覧ください。
https://x.com/RouteX_Startups/status/1650330231352483840?s=20
2020年にテンセントが14億ドルの評価額で同社株式を取得し、ユニコーン入りを果たしました。
Swile(FinTech)
Swileは、デジタル食事券やその他の福利厚生サービスのための決済カードを提供するスタートアップです。フランスでは、企業が従業員に昼休みにレストランやパン屋、スーパーマーケットで使える食事券を支給することがあります。しかし、全店舗で使えるというわけではないうえに食事券の額面を超えると超過分を支払う手間がありました。ここに目を付け、現在では食事券のみならず、その他のサービスもカード1枚で完結できる、これまでの福利厚生とは異なるベネフィットを提供しています。
2021年にソフトバンク主導で2億ドルの資金調達が実施され、ユニコーン入りを果たしました。
Ledger(FinTech)
Ledgerは、暗号通貨資産を保護するハードウェア・ウォレットの設計・製造を専門とするフランスのスタートアップです。Ledger Nano SやLedger Nano Xなどのハードウェアに加え、分散型金融(DeFi)や非代替性トークン(NFT)管理機能を備えたエンタープライズ・プラットフォームや、ステーキングやサードパーティ製品との統合を提供するLedger Liveプラットフォームなどのソフトウェアも提供しています。
2021年に3億8,000万ドルのシリーズC資金調達ラウンドを完了し、ユニコーン入りを果たしました。
Lydia(FinTech)
Lydiaは金融プラットフォームを提供するスタートアップです。アカウント間の送金、QRコード・EC決済から、貯蓄、ローン、投資など包括的な金融サービスを展開しており、フランスでは「金融のスーパーアプリ」と呼ばれています。
2022年時点で、18歳から35歳のフランス人の3分の1がLydiaのアカウントを持っており、全体では550万人のユーザーを抱えていることから、いかにフランス国内で支配的な決済アプリとなっているかが分かると思います。
2021年に1億3300万ドルのシリーズBを完了させ、ユニコーン入りを果たしました。
Dental Monitoring(HealthTech)
Dental Monitoringは、AIを活用した歯科治療モニタリングプラットフォームを提供しています。
医師は患者の治療計画が決まった後、AIが検出できる130以上の口腔内の観察箇所から、その患者の治療計画に則って受け取りたい情報を選択します。患者は付属の器具を使いスマートフォンで口腔内を撮影し、AIがその画像をチェックすることで、予め設定された観察箇所のデータを、医師に情報を連携させるシステムです。
2021年に1億5000万ドル(約1億2890万ユーロ)を調達し、ユニコーン入りを果たしました。
ManoMano(EC)
ManoManoは、DIYやガーデニング製品に特化したECプラットフォームを運営するスタートアップです。同社は、顧客の購入決定を支援する専門家のコミュニティである「Manodvisor(マノドバイザー)」を通じて専門的なアドバイスを提供することで、市場での差別化を図っており、巨大ECであるAmazonなどと競合しています。
2020年に1億2500万ドルの資金調達を完了させ、ユニコーン入りを果たしました。
Qonto(FinTech)
Qontoはビジネス向けの銀行口座を提供しているスタートアップです。特に小規模から中規模の企業やフリーランサーなどに焦点を当てたサービスを展開しており、Webや専用のアプリから簡単に口座開設を行い、支払や入金の追跡等を簡単に行えるようにし、柔軟なビジネスのニーズに適した銀行サービスを提供しています。
2022年1月に4億8600万ユーロの資金調達を行い、ユニコーン入りを果たしました。
Aircall(SaaS)
Aircallは、ビジネス向けクラウドベース通話管理ソフトウェアを提供するスタートアップです。顧客との通話を企業側が管理し、カスタマーサポートや営業活動の強化、そしてクラウドに蓄積されたデータの分析やレポート機能による業務効率向上などをサービスの強みとしています。また、自社内のSalesforceやSlack等のCustomer Relationship Management(CRM)ツールへの接続を容易にしたり、複数の国や地域での電話番号の提供や言語サポートを提供しているため、これからより大きく事業展開を予定している企業にも向いており、通話管理という点で顧客のニーズを追求したサービスを展開しています。
2021年6月に1億2000万ドル資金調達を行い、ユニコーン入りを果たしました。
Dataiku(SaaS)
Dataikuは、人工知能(AI)および機械学習プラットフォームを提供するスタートアップです。同社のプラットフォームは、コーディングが苦手なユーザーでも利用できるようインターフェースやツール機能が工夫されており、コーダーもノンコーダーも同じチーム内で協力してプロジェクトを進めることができるようになっています。また、データ統合、処理、分析、モデル構築、展開、分析などの機械学習する上で必要な各段階をカバーしているため、企業のAIインテグレーションを強力にサポートできるソフトウェアとなっています。
2019年12月に Alphabet Inc.傘下のレイターステージ特化VCであるCapitalGが出資し、ユニコーン入りを果たしました。
Sorare(Gaming)
Sorareはオンラインスポーツゲームを提供しているスタートアップです。同社のプラットフォームでは、サッカー選手のデジタルトレーディングカードを購入し、選手カードを使用してチームを組み、デジタル上でサッカーの試合を行う事ができます。Sorareの特徴的な点は、世界中のプロサッカーリーグと契約してデジタル化した選手のカードをブロックチェーン技術を用いて保有・トレードするプラットフォームが存在することであり、選手のスキルやパフォーマンスに基づいてカードの価値が変動する特殊な仕様となっています。
2021年9月に6億8千万ドルのシリーズB資金調達を完了し、ユニコーン入りを果たしました。
Meero(AI)
Meeroは、商業写真やビデオ、360度パノラマVRなどのビジュアルコンテンツにまつわるソリューションを提供しています。ソリューションの1つ目は、フォトグラファーやビデオグラファーとクライアントをつなぐオンラインプラットフォームです。このプラットフォームでは、フォトグラファーのギグワークを可能にするだけでなく、請求書の処理、納品、ポストプロダクションなどがプラットフォーム上で完結するようになっています。2つ目は、AI搭載カメラアプリの提供です。AIを活用した写真編集、品質チェック、エンハンスメントを含む機能が付帯しています。
2021年6月に2億3000万ドルの資金調達を完了し、ユニコーン入りを果たしました。
Ankorstore(EC)
Ankorstoreは、ヨーロッパ中のブランドと中小規模の小売業者をつなぐオンラインB2Bマーケットプレイスを運営するスタートアップです。公式HPによるとEU33カ国で30万以上の小売業者と3万以上のブランドと提携しており、カテゴリーはホーム&リビング、食料品、子供用品、美容用品、ファッション、宝飾品など多岐にわたります。
2022年1月に2億5000万ユーロのシリーズC資金調達を完了し、ユニコーン入りを果たしました。
ユニコーンを卒業したスタートアップ
ここからはユニコーンを「卒業」した全9社のスタートアップを紹介します。ユニコーンの定義は、先にも述べたように「評価額$10億以上・設立10年以内で未上場企業」ですので、一般的にはいずれかに当てはまらなくなった場合はユニコーンという肩書は外れます。
Veepee
Veepeeは、フラッシュセールを専門に扱う会員制のeコマーススタートアップです。フラッシュセールとは期間限定のセールのことで、同社は衣料品を中心に様々なブランドと提携し、余剰在庫品を特別価格で販売しています。公式HPによると、Veepeeでは6,000のブランドを扱い、世界13カ国、5,000万人の会員を抱えています。
Zen Business社によると、Veepeeは世界でもっとも古いユニコーンスタートアップの1つで、2007年にユニコーンとなりましたが、2001年の設立から設立10年を超えたためユニコーンからは卒業しています。
BlaBlaCar
BlaBlaCarは、オンラインカーシェアリングサービスを提供するスタートアップです。ユーザーは予め予約した車に乗って、同じ方向に向かっている他のユーザーと同乗することができます。これにより移動費を節約することができると同時に、環境にも配慮した移動方法であるということで、ヨーロッパの移動手段として主流となっています。
同社は2015年のシリーズDラウンドでユニコーンとなりましたが、2006年の設立から10年以上が経過しているため、ユニコーンを卒業しています。
Mirakl
Miraklは、eコマース向けのマーケットプレイスソリューションを提供する企業です。企業がオンラインで商品やサービスを販売する際、Miraklのサービスを利用することによって企業は自社のプラットフォーム上で商品の販売を行う事ができ、多様な商品やサービスを顧客に提供できます。
Miraklは2020年に$300Mを調達し、フランス国内10社目のユニコーンとなりました。そして2021に設立10年を迎え、ユニコーンとしての条件である「スタートアップ」というカテゴリーからはずれたため、ユニコーンを卒業しました。
Vestiaire Collective
Vestiaire Collectiveはオンラインでの高級ファッションの再販マーケットプレイスを提供する企業です。他プラットフォームと大きく違う点は、出品される品物に関してVestiaire Collective独自の検証プロセスにて真贋鑑定を行っており、本物のみリスティングされているという安心感をもってユーザーは買い物ができる点です。
Vestiaire Collectiveは2021年に大手高級ファッショングループKering Groupや米国VC Tiger Global Managementから€178Mを調達し、ユニコーンとなりました。同社は設立が2009年となっており、創業から10年以上経過しているため、現在ユニコーンは卒業し、継続して事業を拡大しています。
ContentSquare
ContentSquareは、デジタルユーザーエクスペリエンス(UX)を向上させるためのソリューションを提供しているSaaS企業です。主にWebサイトやモバイルアプリケーションのデータを分析し、ユーザーの行動やインタラクションを理解しやすくするためのツールやプラットフォームを提供しています。
ContentSquareは、2022年にシリーズFで$400M、デットファイナンスで$200Mと合計$600Mにも及ぶ大規模な資金調達を行い、ユニコーンとなりました。同社は2012年に創業されており、現在ではユニコーンを卒業しています。
EcoVadis
EcoVadisは、サステナビリティおよびCSR(企業社会的責任)の分野で、企業のサプライチェーンにおいて社会的・環境的な影響を評価し、改善するためのプラットフォームとサービスを提供しています。主なサービスは、サプライヤーリスク評価および持続可能性評価となっており、ブリヂストンや武田薬品など多くの日系企業も利用しています。
EcoVadisは2022年に$500MのシリーズCの資金調達を行いユニコーンとなりましたが、同社は2007年設立となるため、現在ではユニコーンを卒業しています。
Younited
YounitedはP2P(Peer-to-Peer)型のオンラインローンプラットフォームを提供するFinTech企業です。同社のプラットフォームでは、銀行を介さず個人が他の個人や機関から融資の形態で資金調達が行うことができ、迅速かつ効率的に融資を受けられる事ができます。
Younitedは2022年に€60Mの資金調達を行ったことでユニコーンとなっていますが、創業が2009年となるため、現在ではユニコーンを卒業しています。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
最後に、今回現役のユニコーンスタートアップとして紹介した21社をセクター別に見てみたいと思います。
上位セクターには、FinTech、HealthTech、SaaSと続き、一般的に資金の集まりやすい有力なセクターが占めています。
次のグラフは、Dealroomよりフランスの過去10年間のセクター別資金調達額を示していますが、FinTechやHealthTechは、2013年から10年の間、上位に位置しており、過去から資金が流入しやすいセクターであったことがわかります。
調達金額
2023年上半期、フランスのスタートアップ界は他国で資金調達額が激減している厳しい投資環境の中で比較的活況を呈していました。これは、政府による「La French Tech」や「Bpifrance」などのイニシアチブの存在が大きな要因となっています。フランスのスタートアップ・エコシステムは回復力を示し、VC投資のセクター別ランキングではクリーンテック部門が首位となるなど、注目すべき成果を挙げました。
また、現在はマーケットプレイスやデジタルバンク、高機能バッテリー、さらにはスポーツゲームまで、合計21社のユニコーン企業が存在しており、様々な分野で革新的なサービスが提供されています。
フランスのスタートアップ・シーンは、国内外で認知される存在として成長し続けており、その成果はこれからのイノベーションや産業にも大きな影響を与えることでしょう。
RouteXは、引き続きフランス現地からスタートアップ・エコシステムのリサーチと分析を行い皆様に最新のトレンドをお伝えします。
今後もRouteX Inc.では引き続きスタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。
RouteXは、
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