近年注目を集めており、多くのtoC事業を持つ大企業が導入している「エンベデッド・ファイナンス(Embedded finance)」について、ご存知の方も多いかと思います。日本語では組み込み型金融と呼ばれ、これを用いるとことで消費者が商品を購入する際、決済シーンで金融機関を介さずに、事業会社に組み込まれた金融機能を用いて決済することが可能になります。
具体的な例としては、株式会社ファミリーマートが展開する「ファミペイ」や、株式会社ユニクロが提供する「UNIQLO Pay」などがあります。これらのサービスは、金融機関との連携の上、BaaS(Banking as a Service)を介して、決済システムを当該事業会社内で行うことにより実現しています。
本記事では、英国で組み込み型金融を提供するFinTech、「Liberis」に注目します。同社は、世界をリードする組み込み型金融プラットフォームとして、SME(中小企業)向けにハイパーパーソナライズされた金融ソリューションを提供しています。今回はこの「Liberis」の戦略や日本市場での応用について、Fintech Allianceの記事を元に考察します。
組み込み型金融プラットフォーム「Liberis」
「Liberis」は、より多くの市場で顧客により迅速な資金調達ソリューションを提供し、SMEに最高クラスの金融体験を提供するためにパートナーを支援しています。
「PYMNTs Intelligence」の調査によると、零細企業や中小企業の44%が年に1〜4回のキャッシュフローのギャップを経験しているとのことです。また、組み込み型融資を利用した企業のうち、72%の零細企業と中小企業が昨年、ビジネスにプラスの影響があったと報告しています。
「Liberis」は、このような組み込み型金融に対する加盟店の需要に応えるため、パートナー向けに1つのAPIを通じて完全に自動化された資金調達プラットフォームを提供しています。パートナープラットフォームを通じて提供されるキャッシュフローの洞察により、「Liberis」は13以上の市場にわたる様々な業界のSMEの資金調達ニーズに合わせて製品提供をパーソナライズすることが可能となっています。
マルチプロダクトプラットフォームの構築
「Liberis」は、SME向けの包括的なマルチプロダクトプラットフォームを構築しました。このプラットフォームには、「Flexible Financing」や「Business Cash Advance」など、様々な製品が含まれています。パートナーのプラットフォーム全体でデータと洞察を組み合わせるために技術を活用することで、「Liberis」は現在そして将来のあらゆるSMEのニーズを製品ビジョンの中心に据えています。
SMEは世界の企業人口の90%を占め、先進国のGDPの60-70%の雇用と55%を占めており、経済の重要な部分を担っています。「Liberis」は、SMEが繁栄するために必要な金融ソリューションを提供することで、SMEのイノベーション、雇用創出、コミュニティ強化、持続可能な実践の推進を通じて経済成長を生み出す可能性を最大化しています。
「Liberis」のマルチプロダクトプラットフォームは、業界を問わず、グローバルにパートナーとSMEの両方にサービスを提供し、必要な金融商品にアクセスする能力を向上させる能力の転換を表しています。
また、キャッシュフローの洞察に基づいて決定的な事前承認された資金調達を提供し、SMEの拒否の恐れを減らすことで、顧客体験を向上させています。さらに、より迅速で柔軟な金融ソリューションを提供し、パートナーはSME顧客にわずか数ステップでパーソナライズされた提案を提供できるようになっています。
組み込み型金融の課題と日本での展開可能性
「Liberis」のようなプラットフォームは、SMEの金融アクセスを改善し、経済成長を促進する可能性を秘めています。しかし、このような革新的なサービスを展開する上では、いくつかの課題が考えられます。
日本で同様のサービスを展開する場合、金融庁の規制や既存の金融機関との協力関係の構築が必要となるでしょう。日本のSMEは伝統的に銀行関連サービスに依存してきた傾向がありますが、近年ではFinTechサービスへの関心が高まっており、「Liberis」のようなプラットフォームは、日本のSMEにとって新たな資金調達の選択肢となる可能性があります。採用する企業にとっても、顧客の購買ハードルを下げたり、ロイヤリティの向上につなげたりと、様々なメリットがあるといえます。
しかし、日本のSMEのデジタル化の進展度合いも考慮する必要があります。すべての企業がFinTechに何かしらの形で関わると言っても過言ではない現在でも、実際にデジタルプラットフォームの利用に慣れていない企業は多いと考えられるため、使いやすいインターフェースの開発や丁寧なサポート体制の構築が重要となります。
日本市場でも組み込み型金融を展開する企業があります。その一つが「株式会社インフキュリオン」です。同社はBaaSプラットフォームを中心に展開する「Enabler」にカテゴライズされる企業で、金融に関連するDXの実現を目指しています。
※本記事には、AIが生成した文章、画像等が含まれています。
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投稿者:近藤 碧
京都大学経済学部経済経営学科在学(-2025.3)。ゼミではスタートアップの経営戦略に関するリサーチ・研究に取り組んでいる。2023年9月より、京都大学大学間学生交流協定に基づく交換留学生としてKoç Universityに派遣され、半年間トルコのイスタンブールに滞在した。2022年よりRouteXでインターンシップを開始し、業界リサーチから海外スタートアップの日本進出支援まで幅広い案件を担当。趣味は愛車のバイク(S1000RR ‘21)に乗ることであり、他大学のバイク部にも加入している。
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