「国際送金」とだけ聞いても、それに関連するビジネスについて具体的に想像ができる人は少ないかもしれません。しかしこの市場は大きく、今回紹介する「Zepz」はその一つで、2010年に創業したロンドンを拠点とする国際送金のFinTechユニコーン企業です。
以前は「WorldRemit」として知られていましたが、2021年にSendwaveを買収し、ブランド名を変更しました。
今回は、この「Zepz」の事業内容や調達の背景について、TFNの記事を元に考察します。
新世代の国際送金プラットフォーム「Zepz」
この度、「Zepz」はシリーズFラウンドとして、2億6700万ドル(約414億円)の新規資金調達に成功しました。この資金調達ラウンドでは、「Accel」がリードインベスターとなり、「Leapfrog」、「TCV」、「Coller Capital」も参加しています。さらに、世界銀行グループのメンバーである国際金融公社(IFC)も最大2,000万ドル(約31億円)の投資を表明しています。
「Zepz」の創業には通常の起業とは異なった背景があります。2010年、ソマリア難民で元国連アドバイザーのIsmail Ahmed氏が、東アフリカの家族に送金する際の高額な手数料に不満を抱き、会社を設立したことがきっかけです。
共同創業者のCatherine Wines氏、Richard Igoe氏とともに、「Zepz」は英国初の黒人創業スタートアップとして10億ドルの評価額を達成し、FinTechユニコーンとなりました。
国際送金の未来を形作る「Zepz」の取り組み
「Zepz」は今回の資金調達を通じて、事業運営の拡大とアフリカ市場を超えたビジネス展開を目指しています。
Ismail Ahmed氏がアフリカにルーツを持つことから、ロンドン本社とアフリカの地域オフィスを軸に、現在150カ国をカバーしており、ユーザーはコンピューター、スマートフォン、タブレットを使用して、海外に住む友人や家族に簡単に送金することができます。
従来の送金会社が高額な手数料を請求する街中の代理店を使用していたのに対し、「Zepz」は便利で低コストな選択肢を提供しています。銀行預金、現金受け取り、モバイルマネーなど、多様な送金・受取オプションを安全に提供しています。
「Zepz」の最高経営責任者(CEO)であるMark Lenhard氏は、同社のサービスの重要性について、「私たちは確かにCOVIDの間にそれ(=資金流入)を目にした。地震があった時にも見るだろう。国に地政学的な不安がある時にも見るだろう。より多くのお金が流れ込むだろう。なぜなら人々は家族や、コミュニティについて心配になり、それが彼らの必要な時だからである。」と述べています。
「Zepz」の挑戦から見える国際送金の未来
「Zepz」の取り組みは、国際送金業界に革新をもたらすと同時に、いくつかの重要な課題や可能性を示唆しています。
まず、FinTechの成長と経営の難しさが挙げられます。「Zepz」は2022年に完全な収益性を達成したと主張していますが、2023年初めには従業員の26%以上を解雇し、その数か月後にさらに30%の人員削減を行いました。これは、当時数多くのメディアで取り上げられ、急成長するFinTechが直面する経営の難しさを示したと言えます。
参考:Western Union rival Zepz lays off 26% of employees as fintech cuts continue
次に、新興国市場でのデジタル金融サービスの可能性です。「Zepz」はアフリカ市場を中心に事業を展開していますが、今後はさらなる地域への拡大を目指しています。これは、従来の金融サービスが十分に行き届いていない地域でのデジタル送金サービスの重要性を示唆しています。
最後に、国際送金におけるセキュリティと信頼性の重要性です。「Zepz」のような企業が成功するためには、手数料の安さを売りにするだけではなく、資金の安全な移動を保証し、顧客の信頼を獲得することが不可欠です。
「Zepz」の挑戦は、グローバル化が進む世界において、国境を越えた資金移動がいかに重要であるかを改めて示しています。今後、同社がどのように事業を拡大し、新たな市場でどのような課題に直面するのか、注目されるところです。
参考記事:London-based fintech unicorn Zepz secures $267M to expand cross-border payments platform
※本記事には、AIが生成した文章、画像等が含まれています。
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投稿者:近藤 碧
京都大学経済学部経済経営学科在学(-2025.3)。ゼミではスタートアップの経営戦略に関するリサーチ・研究に取り組んでいる。2023年9月より、京都大学大学間学生交流協定に基づく交換留学生としてKoç Universityに派遣され、半年間トルコのイスタンブールに滞在した。2022年よりRouteXでインターンシップを開始し、業界リサーチから海外スタートアップの日本進出支援まで幅広い案件を担当。趣味は愛車のバイク(S1000RR ‘21)に乗ることであり、他大学のバイク部にも加入している。
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