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記事一覧 > 欧州スタートアップ文化の「隠れた宝石」、ベルファストが注目を集める理由

ロンドン、ベルリン、パリ、アムステルダムといった都市が欧州スタートアップ文化の中心地として知られていますが、あるフィンテック創業者によればベルファストもスタートアップやスケールアップの成長に最適な都市だと言います。

ロンドンを拠点とする9finは最近ベルファストにオフィスを開設しました。9finは金融サービス業界向けに債券市場のデータ分析サービスを提供しており、同社のサービスは欧州のトップ10の投資銀行のうち9社で利用されています。

9finの支援者には、米国の取引プラットフォームRobinhoodやドイツのデジタルバンクN26を支援したRedalpineが含まれています。
2022年には、シリーズA+ラウンドで新規投資家Spark Capitalがリードし、Redalpine、AI Seed、Seedcampなどの既存投資家が参加し、2,300万ドルの資金を調達しました。


ベルファストとは。そしてその可能性は?

ベルファストは英国の北アイルランドに位置する都市で、首都でもあります。北アイルランドは歴史的に複雑な背景を持つ地域で、特に20世紀後半には「The Troubles」と呼ばれる紛争がありました。
しかし、1998年のグッド・フライデー合意以降、平和と繁栄が戻り、現在では商業と文化の中心地として発展しています。

ベルファストは、伝統的な産業である造船業をはじめとした工業都市としての顔も持ちつつ、近年ではテクノロジーやクリエイティブ産業が成長しています。
これにより、多くの企業がベルファストに拠点を構え、スタートアップが集まる都市としての評価が高まっています。

9finの共同創業者であり、ベルファスト近郊出身のスティーブン・ハンターは、ベルファストを「隠れた宝石」と表現し、多くのスタートアップが見過ごしてきた都市だと語ります。

ハンター氏はベルファストの優れた大学や、法律、金融、エンジニアリング分野の高い人材の存在を、この地域を選ぶスタートアップやスケールアップにとって大きな利点としています。

「ロンドンやニューヨークでは、スタートアップが数百社あり、さまざまな大手投資銀行や法律事務所、ファンドがひしめいています。しかし、ここ(ベルファスト)には豊富な人材がいるのに、これまで十分に活用されてこなかったと思います。」とハンター氏は語ります。

また、ベルファストは、過去の歴史的な問題が投資を妨げていた側面があったものの、近年では、政府が支援する投資奨励制度が整っており、事業拡大を目指す企業にとって有望な選択肢になっているとのことです。

ロンドン以外で、第二のオフィスを英国で開設するなら、ベルファストは魅力的な選択肢になることでしょう。

9finの成長とベルファストの今後

9finは現在約230人の従業員を擁し、その大部分はロンドンに、ニューヨークには約60人、ベルファストには約25人のスタッフが働いています。

資金調達については2022年に調達した資金の大部分がまだ手元にあるため、すぐに新たな資金調達を行う予定はないと述べています。

9finの契約は資産運用会社や投資銀行との複数年契約が中心であり、安定した成長が見込まれています。ハンター氏は、現在の焦点は利益ではなく継続的な成長であり同社の売上は毎年倍増していると述べています。

また、彼は英国の新政権について、「スタートアップエコシステムの支援に積極的であるように見える」とコメントしています。
このようにベルファストは欧州のスタートアップ市場での新たなハブとして注目されています。

今後の成長が期待される地域として、スタートアップの進出がますます増えていくかもしれません。

参考記事
TechEU | Belfast “hidden gem” for startups, says debt market analytics startup co-founder

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投稿者:Ray Watabe

上智大学国際教養学部を卒業し、International Business and Economicsを専攻。香港とニュージーランドでの多文化的背景を基に、インキュベーターサークルや投資サークルを設立。学生時代にスタートアップへの関心を深める。LVMHのStudent Ambassadorや、TEDxSophiaUniversityのオーガナイザーとしても活躍。高校からのフランス語の習得経験を活かし、大学卒業後はフランスに拠点を移す。現地で日仏ビジネスの架け橋としての役目を担うべく、その理念に賛同するRouteXに入社。


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