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記事一覧 > SusHi Techの全貌を明らかに(前編)

はじめに

SusHi Techというイベントが東京で開催されていたのをご存じでしょうか? 東京にお住まいの方であれば、空港や電車内の広告を一度は目にしたことがあるかもしれません。

SusHi Techとは、Sustainable High City Tech Tokyoの略で、東京都が主催しているアジア最大規模のスタートアップイベントです。

本レポートでは、実際にSusHi Techに足を運んだRouteXが、イベントテーマである「持続可能性(Sustainability)」にフォーカスしながら、SusHi Techの全体像をご紹介します。

SusHi Techは、以下の3つのプログラムから構成されています。

グローバルスタートアッププログラムは、アジア最大規模のスタートアップイベントであり、日本をはじめ、アジア、オセアニア、北米、欧州など世界各国のスタートアップが一堂に会します。このイベントでは、革新的な技術やビジネスモデルを持つスタートアップが集まり、ネットワーキングやパートナーシップの構築、新たな市場への進出を目指します。

シティ・リーダーズプログラムは、5大陸から都市のリーダーが集う国際会議です。ここでは、各都市が直面する課題について議論し、その解決策や未来のビジョンを共有します。プログラムは都市間の連携を深めることを目的としており、具体的な取り組みや成功事例の共有も行われます。

ショーケースプログラムは、「自然」と「便利」が融合する未来の都市モデルを紹介するイベントです。このプログラムでは、最新の技術やデザインを駆使した都市モデルが展示され、来場者に未来の生活を体験してもらうことが出来ます。

本レポートでは、これら3つのプログラムの中でも特にグローバルスタートアッププログラムに焦点を当てて紹介します。

グローバルスタートアッププログラム

SusHi Tech グローバルスタートアップ プログラムの初日は、東京都知事である小池百合子氏のオープニングセレモニーから始まりました。

世界が気候変動や災害などの危機に直面し、持続可能な社会を目指す努力が世界各地で続けられている中、東京はこの挑戦の先頭に立ち、最先端技術とイノベーションを通じて貢献することを目指していると小池都知事は述べていました。そして、その目標を達成すべく、SusHi Tech Tokyoは、知恵やアイデアを集めて未来を見据える場として開催されました。

また、SusHi Tech グローバルスタートアッププログラムのイベントについては、4つのステージで二日間合わせて計47のセッションが開催されました。

初日は、Startup Genomeの創立者Marc Penzel氏やSTATION Fの初期メンバーMarwan Elfitesse氏、MPower PartnersのGP関氏や、サントリーホールディングス株式会社代表取締役の新浪社長など錚々たる参加者がセッションイベントを盛り上げました。

SusHi Techのメインセッションテーマ

今回のSusHi Techで開催されたセッションは、大きく分けて以下の3つのテーマに分類することができます。

1. 未来の都市を構想する

このテーマでは、主にテクノロジーを活用して都市の課題解決を行いながら、サステナブルな開発ができる都市の未来像について議論が行われました。ESG関係者、建築家、都市計画者、クリエイター等様々な専門家が参加し、デジタルツインを活用した災害対応等を議論していました。

2. テクノロジーの未来を語る

次のテーマでは、テクノロジーの進化とその社会への影響について議論されました。特にバイオテクノロジーやディープテックなど、最先端技術に焦点を当てた上で、日本がどのようにグローバルで戦っていくか、エンタメからバイオまで、様々なインダストリーでディスカッションが行われました。

3. スタートアップを育む

そして3つ目のテーマは、スタートアップ・エコシステムの構築と成長についてです。ベンチャーキャピタルやエコシステムハブの役割、スタートアップが直面する課題とチャンスが主な焦点となり、様々な角度からスタートアップ・エコシステムの議論がされました。特に、スタートアップが成長するために必要な投資環境やそれを取り巻くエコシステム文化、グローバルVCから見た日本のスタートアップのポテンシャルと課題を踏まえた上で、日本のスタートアップはどのような戦略を描くべきなのか、どのようなエコシステムを創り上げるべきなのか話し合いが行われました。

特に、SusHi Techのメインテーマの一つであるサステナビリティに関連して、ESGの未来について議論する「サステナビリティファイナンスの変革へ向けて」というセッションでは、気候変動問題を再確認する機会を提供していたので、一部内容をご紹介します。

弊社撮影

世界各国は2015年にパリ協定を採択し、気候変動による深刻な影響を回避するため、世界の平均気温の上昇を工業発達以前に比べて1.5度以内の上昇に抑えようとしていましたが、2024年2月に、平均気温上昇が1.5度の閾値を超えたことがわかりました。また、戦争やコロナによる影響で貧困問題も加速しており、2030年までの地球温暖化対策努力目標は到底成し遂げられないという見方を明らかにしました。

一方で、目標期間を2050年までと伸ばすと気候変動やサステナビリティは変革できる可能性があり、ESGについては「Moving Goal」という進化中の概念であることから、グローバルなゴール設定とローカルなアクションの統合が重要と述べられていました。

若い世代には、是非これをオポチュニティと捉えて、積極的に課題解決に取り組んでほしいというメッセージを添え、SusHi Techのテーマを参加者全員に再認識させる非常に素晴らしいセッションとなりました。

サステナビリティに特化した出展企業紹介

それでは次に、1日目の出展企業からサステナビリティに特化した3社をご紹介します。

1.アンヴァール株式会社

出典:Aonbarr Inc.

アンヴァール株式会社は2004年に静岡で設立された企業で、複合的な取り組みを通して、日本を資源大国にするための事業活動を実施しています。具体的には以下のような活動を通して、新エネルギー分野のイノベーションを起こす開発・製造企業として躍進しています。

  • バイオマス由来の水素生成とCO2回収(DAC:ダイレクトエアキャプチャー)を同時に行う
  • 海水から直接電気分解して水素を生成し、同時にマグネシウムを回収して次世代EVの骨格材とする
  • MOF(金属有機格子体)を使ってダイレクトエアキャプチャーや産出天然ガスからCO2を分離し、回収したCO2をハウス内に導入して収量増大を狙う

設立後様々なアクセラレーションプログラムに参加し、直近では2021年にJETROのスタートアップシティ・アクセラレーションプログラムに採択されていました。また、2023年には東京都がリードしている、自然と便利の融合を実現する東京ベイeSGプロジェクトにて、海水からの水素生成という分野で採択をされています。

2.Solar power technology

当社は2020年に北京で設立された新エネルギー車および新素材の製品を開発・製造する企業です。

当社の目標は、世界中のすべての車両がプラグイン不要で動くようにすることで、太陽エネルギーを活用し、追加の充電時間や充電動作なしで、低コスト、高効率そしてグリーンな車両エネルギー供給方法を提供することに注力しています。

現在、当社はSolarSkinny製品およびSolarSkinny製品を装備したプラグイン不要のゴルフカートをアメリカやオーストラリアなどに販売しています。また、第2世代のSolarSkin製品を開発中であり、近いうちにプラグイン不要の軽量電動車両を発売する予定となっています。

太陽光で充電可能な電動スクーター
弊社撮影

3.Greenspin

GREENSPINは、農業分野におけるデータ分析とAI技術を駆使して、作物モニタリングと収量予測を提供する企業です。ドイツのヴュルツブルクに拠点を置き、衛星データを活用したリアルタイムの植生発展のモニタリングや、気候変動の影響を軽減するためのソリューションを開発しています。

当社はアジアマーケット開拓の第一歩として、日本を選んでおり、2023年にはVenture Café Tokyoが開催しているRoket Pitch Nightに参加しています。

衛星データの分析画面出典:GREENSPIN | Crop Monitoring


投稿者:Sangmoon Kim

RSM清和監査法人およびデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社での経験を経て、RouteXに参画。米国公認会計士として、財務面からのコンサルティングに一貫して取り組む一方、事業計画策定や財務モデリングにも強みを持つ。イスラエルのスタートアップとのプロジェクトを契機に、スタートアップやスタートアップ・エコシステムへの関心を深め、RouteXではトレンドリサーチや新規事業創出など、幅広い業務を担当。


今後もRouteX Inc.では引き続きスタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。

RouteXは、
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によって、事業会社における効率的な事業開発を実現します。

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