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今回、Vol.1に引き続き、日本で事業を立ち上げられたロシア人起業家、LikePay CEO  イーゴリ・ヴォロシオフ(Igor Voroshilov)さんの取材の様子を紹介させていただきます!

Vol.1では、イーゴリさんが創業されたLikePayの現在のメンバーを紹介させていただくとともに、ロシアに生まれ大学生になるまで日本とは縁がなかったイーゴリさんが来日した経緯、そして異国の地で創業する決意を固めたきっかけを追いました。

そして今回Vol.2では、今のLikePayのビジネスモデルを考えるに至った日本での実体験や、起業の手続きで味わった苦労、そしてイーゴリさんからみた日本について迫ります!

【LikePay Vol.1】ロシア人起業家が日本で創業したきっかけとは?

【LikePay Vol.2】ロシア人起業家からみた日本のエコシステムとは?


目次

1. (Interview)日本での創業で感じた苦労

2. (Interview)LikePayに対する思い

3. (Interview)イーゴリさんからみた日本とは?

4. まとめ


1. (Interview)日本での創業で感じた苦労

ではここからピッチイベントを通じて日本での起業を決意されたイーゴリさんがどのようにLikePayを立ち上げられたのかについてお聞きしていきます。
一般的にはどなたかと共同で創業をされるケースも多いかと思いますが、イーゴリさんの場合はいかがですか?

兄に私が起業を考えていることと、ビジネスのビジョンを話すと、とても面白いとすぐに意気投合してくれました。

しかしここからが高いハードルの連続でした。まず私は学生用のビザで来日していたため、このまま日本で働くことができませんでした。

– それは非常に大変な思いをされたかと思います。どのように対処したのですか?

そこで、ロシアですでにエンジニアとして働いていた兄を代表にすることを考えました。兄自身も後に来日してジョインするのですが、ここでも非常に大変な思いをしました。

事業を立ち上げるために必要な書類をロシアにいる兄に送り、返ってくる郵便を受け取るだけでも非常に時間がかかりましたし、送られてくるロシア語の資料を日本語に翻訳することが、まだ当時日本語がつたなかった私にとってはとても大変な作業でした。なので現在ではLikePayで広報をつとめてくれているArisa Nakamuraの力も借りて、何とかこなすことができました。

またある時、当時代表としていた兄の印鑑証明書を求められたことがありました。ですがロシアには印鑑証明書に該当するものがなかったため、私が日本で担当の方に話して説明し、それに該当する書類を集めなければならなかった時には本当に骨が折れました。

-世界各国では外国人のための起業ビザを特別に発行していますが、日本では起業される外国人の方がこれまであまり多くなかったため、その時点で制度がなかったのですね。

そうですね。日本では留学生が会社を新たに登記するタイミングから切り替えで経営用のビザを取得するのは高いハードルがあります。

逆に日本人が海外で起業する場合どのような手続きが必要となるか、あまり詳しくないのですが、ロシアだとパスポートの提示があれば手続きを進めることができるという話を聞いたことがあります。

-その他にも起業には様々な手続きがあるので大変ではなかったですか?

実は登記は割と簡単でした。法務局が定款を用意してくれて、記載の間違い等は全てチェックしてくれるので非常に助かりました。

そして実際手続きをする上で非常にお世話になったのが、東京開業ワンストップセンター(TOSBEC)です。こちら合計で10回ぐらい相談して、何から何まで親身に教えてもらえるので非常に助かりました!ビジネスコンシェルジュへの相談が本当は30分間なのですが、いつも3時間ぐらい相談していましたね(笑)

東京都は海外から来た外国人の起業に関してとても寛容、かつ外国語でのサービスもあり非常に手厚いなと感じました。

一方で苦労したのは銀行の口座開設でしょうか。外国人の代表者で資本金がまだ少ない時期、かつコワーキングスペースが登記先だったため、普通口座の開設すらも当初はままなりませんでした。結局解決することができたのですが、投資を受けたとしてもお金を受け取る口座がないというのは滑稽な事態ですよね。

-起業に際して日本語の壁もありながら手続きを進めることは並大抵の苦労ではなかったのではないかと思います。
これから海外から日本に来て起業をされる方にアドバイス等はありますか?

私から伝えられるとするなら、最初は難しかったとしても英語ではなく日本語で相談なり手続きを進めることだと思います。特に日本では日本語を使わないとままならないことが多くありますので。

-日本人が日本で起業する際にはなかなか感じることのできない部分も非常に多いですね。


2. (Interview)LikePayに対する思い

-ではここから現在のLikePayの事業につながる部分についてお話を聞いていきます。イーゴリさんがLikePayのビジネスモデルに至ったきっかけを教えていただけますか?

私の原体験は、初めて日本に来た上智大学での留学生時代までさかのぼります。

日本で初めて散髪をしようと大学から一番近くの美容室に行ったのですが、切ってもらった髪型がこれまでになく素晴らしくて気に入りました。なおかつホスピタリティが素晴らしかったことを非常に覚えていて、

来店の際の「ありがとうございました!」

退店の際の「またのお越しをお待ちしております!」

のひとことに非常に感動したのです。正直ロシアの散髪の値段と比べたら高かったのですが、それでもこのお店にお金を払いたいなと思ってしまうお店でした。

そこからこのお店の力になりたいと、特別に割引券をもらうぐらいいつも行き詰めていましたし、他の方にもお勧めしていたのですが、実際は他の方に来てもらうまでに4年かかりました。

この時、私は2つのことに気がつきました。

一つ目は、

「人のつながりをもっとそのお店に広告に生かすことはできないか」

二つ目は、

「今みんなが使っているSNSを使って新しいサービスができないか」

ということです。

私はかつてより、テレビやSNSでたびたび目にする受動的な広告が個人的にあまり好きではなくて、もっと違った形はないものかと思っていたのですが、ユーザーの口コミや感想を通じた人のつながりを使えば、もっと能動的な広告につながるとこの原体験を通じて思ったのです。

そうすれば広告費がなくとも素晴らしい広告になるんじゃないかと。

その時に考えた広告の媒体はSNSです。考えてみると、Instagramをみてみても海外の人って自分の画像を投稿する人が多いと思うのですが、日本人って旅行先の景色の写真だったり、綺麗にもりつけられた料理の写真をあげる方ってすごく多いですよね。

そういった日本独特の文化から着想を得て、「いいね」による割引サービスを思いつきました。「いいね」ってその人の興味を表してますよね。その「いいね」には非常に価値があって、自分の好きな店や美容室を共有しながらサービスを受け取る、このサービスが「LikePay」なのです。

-海外出身ならではの視点で、日本で得た着想を日本で事業化するという点に非常に夢を感じますよね。

-こうして2018年に立ち上げられたLikePayは現在着実に成長を続けています。
では、ここからは実際にLikePayを経営するにあたってのビジネス戦略にフォーカスしていきます。LikePayのサービスを展開する上でそれぞれto C、to Bとどのようにユーザーを獲得されようと考えているのでしょうか。

まずLikePayを使ってくれるユーザーの方に対してですが、これはできるだけ広告を出して広げるようなやり方ではなく、それこそ口コミや自発的な検索で広がっていってくれるのが理想ですね。

そのために私たちが注力しているのはプロダクト自体の開発です。

プロダクトのクオリティを高めることで自然と売り上げはついてくると思うので、しばらくは素晴らしいプロダクトを作ることに注力したいと考えています。

(LikePayの加盟店の方との1枚)

一方でLikePayのサービスに加盟してくださる美容院や飲食店に対するアプローチですが、こちらは自社の方でおこなっています。

面白いことにお店の方にお声かけさせていただく時に、メールや電話で連絡をとるよりも、実際にお店に足を運んでお話を伺いながら紹介させてもらった方が理解してもらえることが多いんです。お店の方にとっては新しいビジネスモデルなので、その良さを直接聞いてもらうことが大事ですね。

LikePayのビジョンにもつながりますが、やはり実際面と向かってお話する方が信頼性が高いのだと思います。昔はご近所付き合いみたいな形がすごく盛んで、だんだんとみられなくなってきてはいますが、時代がまた戻ってくることも考えられるんじゃないかなと考えてます。

競合といえる会社も増えてくるでしょうね。

実際に最近増えてきていますね。最近では一般人がYoutubeやInstagramを使って稼ぐことができる時代で、インフルエンサーのような方々との競合も増えていく可能性がありますね。

ですが世の中の状況がだんだんと信頼性の高いサービスにシフトしていく中で、これからどんどんLikepayの市場が増えていくと考えています。


3. (Interview)イーゴリさんからみた日本とは?

-ではここからロシア出身のイーゴリさんからみた日本や、スタートアップエコシステムに対する所感を聞いていきます。
イーゴリさんは日本におけるビジネスや生活の現状をどのようにみていますか。

私が初めて日本を訪れた時にすごく驚いたように、世界と比べても非常に安定した社会を築いていて、モラルや国民性の観点においてもとても優れていると思います。

ただ日本人、もっとできるんじゃないかなと思います。特にITの分野が少し遅れていますよね。

これは私の考察になりますが、日本の文化が由来しているのかもしれません。日本の文化ではこれまで確固たる「モノ」が重視されてきていて、形あるものを組み立てたりすることはとても得意な一方、ITのように手触りがないものを扱うのが苦手なのかもしれないですね。


ですがこれから日本もどんどんとITを使って変わっていくと思います。例えば働き方が変わってきて、もっと創造する営みが盛んになるかもしれませんね。

(今回慶應大学発の学生コミュニティFusion様とともにインタビューさせていただきました!)

-これからの未来をになっていくのは今高校生や大学生の若者だと思います。自らの経験をもってイーゴリさんが若者の強みだと思う部分は何でしょうか。

様々なことで強みがあると思いますが、何より達成することが難しいことに対して失敗を恐れずチャレンジできることではないでしょうか。失敗してもやり直せばいいだけですよね。スーパーマリオも落ちたあとにすぐに復活しますし。(笑)

一方で例えば起業であれば、教科書的なところからアイデアを持ってきて試したのではおそらく失敗すると思います。それはなぜならビジネスにおいてはいわばプロともいうべき社会人の方と競争する必要がありますから。クリエイティビティを持ちながら課題を少しづつ、段階的に解決していくということがとても大事
ですね。

ですがリスクがないが一番の強みだと思います。4年間あればなんでもできるし、1年で失敗しても4回チャレンジできますよね。

-では最後にイーゴリさんのビジネスで大切にしている信念を教えていただけますでしょうか。

私の中で一番大事にしているのは、

「0よりも1がいい」

という言葉です。

おそらく起業家だけではなく、多くの社会人や学生の方は膨らんだ理想が負担になってしまって何もできない状態になっている方が多いのではないでしょうか。ですが、今考えている理想を語るばかりでなく、ビジネスサイドであれば副業を始めてみる、エンジニアであれば最低限の機能をもつプロダクトを作ってみるといったマインドセットが大事ではないかなと思います。

逆にそのようなマインドセットをもつことで、今所属している枠を飛び越えて機会を掴むことができると思いますし、自己実現に繋がるのではないかと私自身は考えています。

-今回はご自身が起業家になった経緯から、実際にLikePayを推し進める上で大切にしている思い、そしてイーゴリさんからみた日本など、非常に多岐にわたってお聞きしました。お忙しい中ありがとうございました。


4. まとめ

いかがでしたでしょうか。

海外から日本で起業するためには手続きや環境整備にあたって大きなハードルがある一方で、日本にはない新しい発想でビジネスモデルを構築する営みには非常に学ぶべき所が多いのではないかと思います。

RouteX Inc.では毎年ロシアのスタートアップ・エコシステム リサーチのために現地を訪れ、ロシアのスタートアップとのネットワーク強化を行っています。
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