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サンクトペテルブルク国際経済フォーラム
参加レポート

ロシア版ダボス会議 サンクトペテルブルク国際経済フォーラムとは?

2021年6月2〜5日にロシア第二の都市サンクトペテルブルクにて開催された「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」に弊社代表の大森が日本のロシア関係のビジネスを行う若手経営者の代表として参加させていただきましたので、現地の様子をお伝えします!

サンクトペテルブルク国際経済フォーラムは「ロシア版ダボス会議」とも呼ばれ、ロシアのプーチン大統領も出席するロシア最大の経済イベントです。毎年、世界各国から政治、経済界の主要な要人が集まり、今後の世界経済の動向に関する情報交換を行なっています。2018年には当時の安倍晋三首相も出席したことから日本人にも知られているロシアの国際的な経済イベントと言えます。

今回弊社代表の大森はロシアの政府機関である、ロシア連邦交流庁から特別にご招待いただき、サンクトペテルブルク国際経済フォーラム内で開催される「New Generation Leadership」プログラムという世界中の25歳から35歳までの若手経営者や政府プロジェクトを推進するリーダー層が集うプログラムに参加しました。参加者の多くはロシアと関係性の深い旧ソ連圏以外にも中東やアフリカ等の経済発展が急速に進む国からの参加者が多く、日本からは弊社RouteX Inc.の大森のみが代表として参加しておりました。約30カ国から40人程が集い、それぞれの国が抱える課題に対して、様々な国の視点や経験を生かして若手リーダー達が解決策についてディスカッションを行いました。

昼食を取りながら
ベラルーシやアゼルバイジャンの経済動向についての意見交換の様子
外国人起業家から見たロシアでのスタートアップの創業環境と
投資家との関係性についての意見交換の様子

サンクトペテルブルク国際経済フォーラム 会場の様子

サンクトペテルブルク国際経済フォーラムは国際見本市連盟(UFI)の基準に合わせて建設されたサンクトペテルブルク郊外にある最新展示施設「エキスポフォーラム」にて開催されました。

空港や街中の至る所にサンクトペテルブルク国際経済フォーラムの広告が展示されています。ロシア政府が街を挙げて、どれだけこのイベントに注力しているのかが伝わりますね。

空港での参加証受け取りのための特別受付
コロナウイルス感染拡大防止のためのPCR検査実施の案内

今回のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムが開催された2021年6月は、まだ世界的に猛威を振るうコロナウイルスの感染拡大もロシアで続いています。一方でロシア製ワクチンである「スプートニクV」の接種スタートによる感染の広まりを抑止出来る事を期待され、開催される事となりました。感染拡大を防止するために、カンファレンス参加者全員にPCR検査の実施が義務付けられており、カンファレンス運営者が用意した中心地に数カ所ある特別なPCR検査センターで検査を受け、結果が陰性の場合にのみ参加証がアクティベートされ、イベントに参加出来る仕組みになっています。

市内中心地の至る所からカンファレンス会場に向けたシャトルが運行されている。
サンクトペテルブルクの中心地に位置するショッピングモール ゴスチーヌイ・ドヴォールにもサンクトペテルブルク国際経済フォーラムの案内が掲載されている。フォーラム開催期間中は中心地はSPIEF一色に。
ソーシャルディスタンスが保たれているメインステージの様子
Image Credit : Roscongress
メインステージで登壇するロシアのプーチン大統領

サンクトペテルブルク国際経済フォーラムでは毎年ロシアのプーチン大統領が登壇し、ロシアの経済状況や今後の展望についてキーノートスピーチを行います。2018年には安倍首相もプーチン大統領と共に同席し、日露の経済連携について講演を行いました。今年はカタールをフォーラムのゲスト参加国として、カタールの首長をオンラインで招き、経済連携等についての意見交換を行いました。

Image Credit : 首相官邸
2018年度に登壇する当時の安倍首相

プーチン大統領のキーノートスピーチ
今回のフォーラムのゲスト国であるカタールは会場の中心部に大きなパビリオンを設置。カタール企業の多くがブース出展している。
カタール航空のブースでは新しいファーストクラスの体験等が行われている。
別のブースにはロシアの航空会社 アエロフロートも出展
ロシアでの仮想通貨の導入検討について
ロシア企業のESGへの取り組みについて

会場は主にブース出展を行う場所とカンファレンスホールに分かれています。ブース出展はロシア企業を中心と海外企業が中心に出展している場所に分かれており、それぞれ至る所で中長期的な連携に向けたビジネスミーティングが行われています。

ブラジルやヨーロッパからの参加者とのランチミーティング
(実際にこの後MOU等が締結された。)
会場の様々な場所でクイックなビジネスミーティングやランチから事業連携に向けたMOU締結等への動きが活発に行われています。

出展企業紹介

Yandex
ロシア版Googleとも言われる、ロシア最大のスタートアップ企業のひとつYandexもブースを出展しています。Yandexはロシア語圏に特化した検索サイトを提供する事によって急成長した企業であり、最近は経営多角化によりロシア国内でUberと合弁企業を作る形でYandex Go や Yandex Edaといったライドシェア、フードデリバリー事業も手がけています。実際、ロシア国内の都市圏での移動の際はYandex Goを利用する場合が多く、特に外国人にとってはいわゆる白タク等に法外な値段を請求されないためにもYandex Goは無くてはならないサービスと言えるまでに普及しています。また、Yandexは自動運転技術等もロシア政府主導で進むイノベーション都市スコルコボにおいて実証実験を行っており、今後のテクノロジーの発展において注視する必要があるロシアを代表するスタートアップと言えます。

実際にYandex Goを利用している様子。
約3kmで200円程と使いやすい価格設定。
街中ではЯндекс.Драйвというカーシェアサービスも展開されている。
Yandex Edaの配達員の方を街中でも多く見かける。
Yandex Edaに関する詳細なレポートはこちらからご確認いただけます。

VKontakte
ロシア最大のスタートアップとしてYandexと対をなす存在である、ロシア版Facebookと言われるVKontakte。ロシア人のほとんどがFacebookを利用せず、VKを利用している事からロシア国内でネットワークを広げる際は必ず必要になるSNSです。また、VKの創業者であるパーヴェル ドゥーロフはロシア版ザッカーバーグとも言われ、ロシアを代表する起業家の一人でもあり、世界的にも利用が広がるメッセージツールのテレグラムも開発しました。

Sorce : Statista
Most used social media platforms in Russia as of October 2020, by monthly publications*

実際にマーケットリサーチのための統計データを提供するStatistaによると、一ヶ月のSNSの利用数で見るとVKがロシア国内では圧倒的なシェアを誇っている事が分かります。また、FacebookのユーザーはVKの1/8程度の利用にとどまっています。実際にロシア人にヒアリングを行ったところ、外国の友人等がいる場合は海外の人はVKを使用していないためFacebookでやりとりをするが、国内で主に利用する場合は圧倒的にVKを利用している事が分かりました。これはVKの機能にFacebook、YouTube、その他様々なSNSの機能が含まれている事や、ロシア語話者にとって使いやすいUI/UXになっている事から、利用が進んでいると考えられます。また、VKは海外からアクセスした際は非常にスピードが遅い場合が多いですが、ロシア国内からのアクセスにおいては高速な通信が可能であり、ユーザーにとって最も使いやすいSNSと言えます。

Kaspersky
ロシアのセキュリティソフト企業最大手のカスペルスキー。日本でも多く利用されており、知っている人も多いかもしれません。最新のセキュリティに関するプロダクトの展示を行なっています。

Russian Railways
ロシアの国有企業である、ロシア鉄道公開株式会社もブース出展を行っており、最新の旅の過ごし方や駅開発等に関する展示を行っていました。ソフトバンクのペッパーくんの様なロボットも笑

Sberbank
ロシア連邦貯蓄銀行と訳されるロシア最大の商業銀行であるズベルバンク。今回のフォーラムのメインパートナーでもあり、経営多角化が進むズベルバンクの最新のプロダクトが展示、紹介されています。中でもEV自動運転車のプロトタイプであるFLIPの展示には多くの人が集まっていました。また、EV自動運転車のみでなく、ロシアで多く利用される路面電車(トラム)の開発も進めており、利用者や環境に優しいプロダクト開発に注力しているとの発表も。銀行がMaaS領域のビジネスも進めている事を考えると、ロシアの大企業の経営多角化による一局集中化が伺えます。

ズベルバンクのEV自動運転車 FLIP
FLIPの近代的な内装
自動運転のため運転席は搭載されていない
ズベルバンクが開発中のハイテクトラム Corsair
Corsairの近代的な運転席
様々な技術が集約されている

注目のブース

Skolkovo
ロシアの首都モスクワ近郊にある政府主導で開発が進むロシア最大のイノベーション創出都市スコルコボの紹介ブース。VR等の最新プロダクトの紹介が行われていました。RouteX Inc.ではスコルコボ現地へのリサーチも頻繁に行なっております。
スコルコボの詳細はこちらから

ロシアの地方都市への企業や投資の誘致を行うために、ロシアの地方都市の魅力を伝えるブースも数多く設置されています。特に注目なのが、2014年にウクライナとの間に勃発したクリミア危機により、ロシアの実行支配が続くクリミアへの経済誘致のブースが設置されている事でしょうか。日本ではクリミアの経済状況等をリサーチする事は難しいですが、直接クリミアでのビジネスチャンス等をヒアリングする事が可能です。

メルセデスベンツもブースを出展しています。特に注目なのが、マイバッハというメルセデスの中でも最高級クラスの展示がされている事でしょうか。サンクトペテルブルク国際経済フォーラムはVIPも多く訪れるため会場周辺には多くのマイバッハが駐車されている事からもその需要が伺えます。また、モスクワやサンクトペテルブルクの中心地等は日本よりもマイバッハを見かける頻度が高く、ロシアの富裕層の広がりを感じる事が出来ます。

唯一日本製として紹介され、ブースも大きく展示されていたのはYAMAGUCHIというマッサージチェアブランドです。ロシアの空港等では時折見かける事のあるブランドですが、日本人にとっては馴染みがない、ロシアで人気のあるマッサージメーカーです。公式HPには日本で設立された山口電子工業が開発したマッサージチェアが世界に広がったという記述がありますが、ロシア国内でのPRやローカライズの仕方を考えると、既に資本は代わり「日本ブランド」をうまく使っているロシア企業の可能性が高いです。(実際の資本関係はHPから読み取れませんでした。) 実際にロシア国内では丸亀製麺等も出店しており、寿司店も数多くある事から日本食のチャンスは広がりを見せています。一方で「日本ブランド」を利用したのみのロシア系日本食店がロシア国内でも多く、純粋な日本企業の進出にはまだまだ至っていない現状もあります。海外進出には多くの課題もあり、現地企業が日本食レストランを設立してしまう方が店舗展開として早いという現状です。日系日本食企業やスタートアップのロシア進出はこれからチャンスを掴んでいく段階と言えるかと思います。

メディアの動き

ロシア版ダボス会議と言われ、プーチン大統領も出席するロシア最大の経済フォーラムという事もあり、ロシアの国営メディアだけでなく、国内外大小様々なメディアが会場でインタビューや取材を行なっています。特にロシア系メディアはブースを設置しており、その場でVIP等へのインタビューを行い、放送出来る環境を整えています。ロシアの政府系メディアであるスプートニクに弊社RouteX Inc.は日露のスタートアップ・エコシステムを牽引するプレイヤーのひとつとして紹介いただいております。
スプートニクの記事はこちらから

「New Generation Leadership」

今回弊社代表の大森はロシアの政府機関である、ロシア連邦交流庁と関係機関であるFriends for leadershipから日本の若手経営者の代表として特別にご招待いただきました。サンクトペテルブルク国際経済フォーラムと並行して開催されていた、「New Generation Leadership」プログラムの一部もご紹介させていただきます。

初日はロシア連邦交流庁の担当者の方からプログラムやロシア連邦交流庁の活動紹介を行っていただきました。ロシア連邦交流庁は日本にも拠点があり、ロシアの文化・芸術等を広める活動を幅広く行なっています。弊社RouteX Inc.もロシア連邦交流庁駐日代表や駐日ロシア連邦大使館と様々な企画を共同運営しております。
ロシア連邦交流庁駐日代表SNSはこちらから

ロシア連邦交流庁の活動目的として海外にロシアの文化・芸術等を広める事もあり、ロシアの芸術の中心地でもあるサンクトぺテルブルクの市内観光もプログラムに含まれています。

また、今回の「New Generation Leadership」プログラムの参加者向けにサンクトペテルブルク国際経済フォーラム内での特別ゲストによるセッション等も用意されています。

サンクトペテルブルクの中心に位置するイサク聖堂
ディナークルーズで水の都でもある中心地の名所巡り
ベラルーシからの参加者とクルーズ船の中で
今回のプログラムで旧ソ連圏からの参加者は英語が話せない場合も多く、ロシア語でのコミュニケーションとなり、ロシア語学習者としては嬉しい機会に。
ロシアが世界に誇るエルミタージュ美術館
エルミタージュ美術館前に特設ステージが用意され、サンクトペテルブルク国際経済フォーラム参加者限定のコンサートが開催されている。
屋外ステージなので、サンクトペテルブルク国際経済フォーラム参加者以外の方も見る事が出来ます。ロシア製ワクチンのスプートニクVが簡単に接種出来る環境ではありますが、日本だと密になると言われて中止になる規模での開催。ロシアでは日常が戻りつつあるのかもしれません。
市内中心部では電動シェアスクーターの普及も進んでいます。
ロシア連邦交流庁代表の方とロシア文化の広がりについて
普段ラブロフ外相とも働く、ロシア外務省の方と国際情勢について
サンクトペテルブルク国際経済フォーラムを運営しているRoscongress CEOと
今回のプログラムの詳細は公式HPでも紹介されていました。

世界、約30カ国から40人程のリーダーが集ったプログラムの全日程はビジネスから国際情勢、SDGsまで幅広いトピックについてのディスカッションを1日中行っていました。特に自国が抱える課題に対して、別国のリーダーが解決策を自身の経験から提案していく過程は学びが多い物となりました。RouteX Inc.ではロシアだけでなく、旧ソ連圏のスタートアップ・エコシステムにも注力しているため、旧ソ連圏出身の参加者にマーケットリサーチのために様々なヒアリング活動を行っていました。このプログラムを通してRouteX Inc.の海外連携パートナー候補の方とも多く繋がる事ができ、今後の海外スタートアップ・エコシステムリサーチに今回の経験を還元出来る事を確信しています。

今回参加したリーダーの出身国一覧
アフガニスタン、アルジェリア、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ボツワナ、ブラジル、エストニア、エチオピア、ドイツ、ガーナ、イタリア、コートジボワール、日本、カザフスタン、キルギス、レバノン、リベリア、メキシコ、モルドバ、モロッコ、ナイジェリア、フィリピン、セルビア、スペイン、スリランカ、ウガンダ、アメリカ、カザフスタン、モルドバ、ロシア、スイス

いかがだったでしょうか?
ロシアの芸術の中心地サンクトペテルブルクで開催された、ロシア版ダボス会議 サンクトペテルブルク国際経済フォーラムからロシアの先進技術や経済動向の一部をお伝え出来たかと思います。

投稿者 : 大森 貴之
RouteX Inc. Founder & CEO
海外渡航歴60カ国、学生時代にシリコンバレー、イスラエル、ロシア等でのインターンや調査を経験。海外のスタートアップ・エコシステムのリサーチを専門とし、世界中のスタートアップのビジネスモデルやテクノロジーの分析を行なっている。ロシアや旧ソ連地域が得意。シリコンバレーで毎年開催されるFacebookの最も重要なカンファレンス「F8」にて2019年度は日本人で唯一「F8 Hackathon」に参加。シリコンバレー発の世界最大のエンジニアとスタートアップのコミュニティFacebook Developer CirclesとAngelHackの日本運営代表を務めている。京都大学MBA (経営学修士) 修了

RouteX Inc.では毎年ロシアのスタートアップ・エコシステムをリサーチをするために現地を訪れ、ネットワークの強化と最新情報のキャッチアップを行っております。現在、駐日ロシア連邦大使館とも連携を行い日露スタートアップの関係強化に向けて活動しております。ロシアのスタートアップとの連携や現地調査等にご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。