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記事一覧 > フランススタートアップの資金調達最新情報 (2021年上半期)

今回は、2021年上半期のフランスにおいて資金調達をおこなったスタートアップのうち、その調達規模の大きなスタートアップ3社をご紹介いたします。
ビジネスフランスによると、当期間フランスのスタートアップ・エコシステム全体で60億ドル (※1)の資金調達が行われ、これは前年同期間比90%アップで半期としては過去最高を記録しました。
※1…1ユーロ = 1.17ドルにて計算。2021年9月26日のレートより。

ただし、ヨーロッパでは全体的にスタートアップの資金調達が活発化しており、イギリス (189億ドル)、ドイツ (91億ドル)、スウェーデン (74億ドル)など、国単位ではフランス以上の数値が出ています。各国がエコシステムの構築に注力する中、今後ヨーロッパ地域全体でのスタートアップビジネスのさらなる活性化と、エコシステム間における特色の顕在化が進むことが期待されます。

フランスにおいて2021年上半期に資金調達を実施したスタートアップのうち、規模の大きい順に3社をご紹介していきます。
なおいずれの企業もユニコーン企業であり、フランスのエコシステムが断続的にユニコーン企業を生み出すことのできるものであることを改めて感じさせますね。

Contentsquare:シリーズE、5億ドル

Contentsquare (コンテントスクエア)は、SoftBank Vision Fundをリードインベスターとする5億ドルの資金調達をシリーズEとして完了しました。今年はAIスタートアップのupstride、および類似したサービスをオーストラリアで展開するHotjarを買収し、ニューヨークの拠点を中心に全世界への展開を加速させています。

Contentsquareは、サイト内での顧客体験を分析するクラウドサービスを主にE-Commerce企業向けに提供しています。匿名のウェブやモバイル、アプリ上の行動を収集し、それらから実用的な示唆を与える情報へと変換することで、エンゲージメントの向上へとつなげるサービスです。

このサービスが拡大する背景には、Covid-19による消費者の購買様式の劇的な変化、そして全世界的な潮流となっているCookie使用規制があると考えられます。後者に関して、日本ではその対応が遅れている一方で、GoogleやAppleが第三者Cookieのブロックを発表し、各国政府がそれに呼応する形で法整備を進めています。

ContentsquareのサービスはCookieを使わないアプローチで顧客体験を獲得できることが大きな強みであり、その期待が今回のラウンドに反映されているといえるでしょう。

Ledger:シリーズC、3.8億ドル

Ledger (レジャー)は、アメリカのVC 10T他32の投資家からシリーズCとして3.8億ドルの資金調達を完了しました。

Ledgerは、デジタル資産を保護するためのセキュリティシステムを提供しています。現在は主に仮想通貨の取引に用いられ、スティック型の機器を通じて安全かつ簡単に取引ができるシステムを構築しています。
更に、独自のアカデミーを開設しており、Crypto(暗号通貨)についてなどユーザーが学習できるコンテンツも充実しています。

引用:Ledger(レジャー)公式HP

現時点では、アメリカに比べてヨーロッパではデジタル資産に対する規制が厳しく、Coinbase(コインベース)に類するビジネスモデルが育ちづらいエコシステムであると言われています。今後の規制緩和に合わせて更なる事業成長が期待される分野として現地では注目が集まっています。

Back Market:シリーズC、3.4億ドル

Back Market (バックマーケット)は、アメリカのVC General Atlanticをリードとして、3.4億円のシリーズC資金調達を完了しました。

Back Marketは、リファービッシュ品 (refurbished products)と呼ばれる中古の電子機器を、高い品質管理と新品さながらの保証付きで全世界に提供するe-Commerce企業です。主にiPhoneやMacbook、Galaxy、その他比較的高価な音響機器など、中古市場の成立しやすい高価格・高付加価値な中古製品が多くなっています。

Back Market(バックマーケット)で販売されている商品の例
引用:Back Market公式HP

全世界的に、エコやサスティナブルに対する意識が高まっていることにも後押しを受け、現在日本を含む13の国でサービスを展開しています。

投稿者:塚尾 昌浩
サンフランシスコにて実施されたTechCrunch Disrupt SFでの現地取材でスタートアップ・エコシステムの可能性に衝撃を受け、以来エコシステムの並行分析とDeepTech領域に注力。
中でもフランスはエコシステム発展の典型事例として特に注目している。
食に、ワインに、サッカー観るのも好きなので相性はばっちり?
直近の目標は、フランスで現地の友人とサーフィンとワイン巡りをすること。

RouteX Inc.では引き続きスタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。
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