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記事一覧 > ロシア連邦交流庁主催 記者・広報向け SPUTNIK PRO 参加レポート

2021年10月19日~23日まで、主に記者やメディアに携わる人向けのイベント「SPUTNIK PRO(スプートニクプロ)」というプログラムがロシア連邦交流庁主催で行われ、弊社広報担当の中村が代表して参加させていただきましたので、その様子をレポートします!

「SPUTNIK PRO」とは?

今年で3回目を迎えるこの「SPUTNIK PRO」プログラムは、世界各国のニュースエージェンシーやメディアで働くジャーナリスト、そして記者を志す学生など35歳以下の”NEW GENERATION” と呼ばれる世代の人が集まり、ロシア政府系メディアРОССИЯ СЕГОДНЯ(ロシア・セヴォードニャ:日本語では「ロシアの今日」)の本社を実際に訪問し、それぞれの部署の担当者から講義を聞いたり、チームでワークショップをするものです。
ロシアのメディアに対する考え方はもちろんのこと、世界各国からの参加者ともジャーナリズムに対する意見を交わしながら、「真の情報を読み解く・伝える」ことについて考えました。

今回は、依然と続くコロナ禍のこともあり、例年よりも少ない計8人が参加しました。参加国はブルガリア、セルビア、レバノン、エジプト、日本で、日本からは弊社中村の1人のみの参加でした。中村は記者ではありませんが、広報担当として情報を扱う職種であることと、弊社サイトの記事管轄を担っているためロシア連邦交流庁に特別にご招待いただき参加することが出来ました。

プログラム自体は全3日間の日程で、РОССИЯ СЕГОДНЯ訪問だけではなくモスクワ観光なども含まれており、ロシアを満喫できる内容となっていました。

SPUTNIKについて

SPUTNIK(スプートニク)とは、РОССИЯ СЕГОДНЯ(ロシア・セヴォードニャ)が展開するブランドの一つであり、国際向けマルチメディアです。
政府系メディアであるРОССИЯ СЕГОДНЯは、2013年にロシアの通信社「RIAノーボスチ (リアノーボスチ、РИА Новости)」と国際放送ラジオ局「ロシアの声(Голос России、旧:ラジオ・モスクワ)」の合併により成立しました。
スプートニクが作られたのは2014年で、本局はモスクワにあり、支局をワシントン、北京、パリ、ベルリン、カイロ、ロンドン、エディンバラなど16都市に持ちます。現在、ロシア国外の読者向けに32カ国語のニュースサイトを有しています。またWebサイトだけではなく、アナログおよびデジタルブロードキャスト、モバイルアプリ、ソーシャルメディアページも展開しています。
「ロシアの声」を引き継ぐ形で、音声放送であるラジオ・スプートニクも展開していますが、こちらはサイトなどよりも放送されている都市がかなり限られています。(かつては日本語放送も行われていましたが、2016年に廃止されました。)ちなみに放送されている地域はこちらに載っています。

ロシア国内に向けては、RIAノーボスチのブランドで情報発信しています。

現在、РОССИЯ СЕГОДНЯでは、スプートニク、RIAノーボスチの他にもこれらのブランドを展開しています。

ちなみに、弊社の活動についてもスプートニクに取り上げていただいたことがあります。(記事はこちらからご覧いただけます。)

プログラム1日目

1日目は、早速РОССИЯ СЕГОДНЯの本社に行き、3つの講義を聞きました。

РОССИЯ СЕГОДНЯの本社
1日目は、こちらの国際マルチメディア・プレスセンターの中で活動しました。

講義1.トークカンファレンス
スプートニク国際協力長のVasily Pushkov(ヴァシリー・プシュコフ)氏と、同じくスプートニクの編集者Tatiana Kukhreva(タチアナ・クレバ)氏によるトークカンファレンスを聞きました。
スプートニクの成り立ちや特徴など概略的な話と、それぞれメディアに対する考え方などをトーク形式でお話してくださいました。

左:Vasily Pushkov氏、右:Tatiana Kukhreva氏

スプートニクの報じ方のポイントは、その国(地域)に合わせた情報を、エッセンスを抜き出して伝えていること。例えばスプートニク日本では、日本人が興味があるであろうことを掻い摘んでニュースとして掲載しています。それは、もちろん日露に関わるものが多いですが、日本国内の出来事や日露以外の国についてのニュースもあります。スプートニク記者によるオリジナル記事は、基本的に日露に関連する記事となっています。そして、あるニュースや出来事について、視点だけではなく、伝え方(フォーム)を変えることも近年非常に重要であると言います。例えば、台湾について書く際に、中国への伝え方と日本への伝え方は異なるようにしているとのこと。それは、あらゆるメディアの読者自身がセカンドオピニオンを聞いたり、違う視点からの意見を大事にし始めたからだと言います。

またニュースのために良いSNSはTelegram(テレグラム)で、Facebookはフェイクニュースを流すことが多いと批判していました。(Facebookから派生して、アメリカの批判もしていました。)
▶Telegramについての記事はこちら

一番興味深かったのは、「メディアはプライベート(民間)になるべきではない」と強調しており、それは、どんなメディアでもどこかしらお金を出しているファンドや人にコントロールされるものであるから、その彼らに批判されないように書かなければいけないからだとおっしゃっていたことです。
つまり、スプートニクはロシア政府系のメディアなので、政府に背くような内容は決して書けないし、伝え方も気を付けなければならないということですね。

参加者の「外部(政府や読者)からのプレッシャーや批判を避けるための戦略があるか?」との質問に対しても、「我々はステークホルダーを分かっていて、彼らは批判しないと知っているので、「プレッシャーや批判があるかも」と考えること自体がナンセンスだ」と言っていました。SNSなどでコメント欄が荒れたり、読者から批判を浴びることもある たまに政府もメディアを批判することのある日本とは考え方が全然違うと思いました。ロシアのジャーナリストが毎年誰かしら行方不明になったりしているのも納得ですね…。

講義2.ビデオやSNSでの発信
映像やSNSなどに携わっているEgor Arkhipov(エゴール・アルヒポフ)氏による、ニュースなど情報を発信する際にそれぞれのSNSツールでどんなアプローチの仕方が効果的か?という話をお聞きました。

Egor Arkhipov氏

テクニカル的なことを話しているのが多かったので、これは広報担当やSNS担当向きの話だと感じました。
ただジャーナリスト自体も発信したり、SNSからの情報源をもとに記事を書く人たちなので、役に立ったかもしれません。

講義3.Webテクノロジー
ジャーナリストが知っておくべきWebテクノロジーについて、Alexey Filippovsky(アレクセイ・フィリッポフスキ)氏のお話をお聞きしました。

Alexey Filippovsky氏

Webサイト自体の仕組みの話を主にしていただきました。
広報担当だとWebデザインなども手掛けることがあり、サイト作成はやったことがあるのでフロント・バックエンドの仕組みはよく理解していますし、興味があったのですが、参加者に聞いたら、この講義はあまりジャーナリスト向けではないと言っていました。

プログラム2日目

2日目は、講義を1つ聞いたのと、実践的なワークショップを行いました。

1.ワークショップ―真実を見抜く
スプートニクのコンサルティングをしているOleg Dmitriev(オレグ・ドミトリエフ)氏に、フェイクニュースの見分け方や、ジャーナリストとして記事を執筆する際の、ニュースの媒体元のチェックの仕方などの講義を聞いた後に、実際にワークショップで、「真実を見つけて伝える」エクササイズを行いました。

Oleg Dmitriev氏

私のグループでは、CNN、BBC、ロイターなどの国際的な通信社の記事から1つのテーマに対する異なる視点で書かれた記事を探して、紛争当事者/ソース元/事実と数字/セカンドオピニオンの切り口でそのニュースの正しさを測ってみました。
もう一方のグループは、ロシアのメディアに対して同様のエクササイズを行っていました。

最初は、そもそも1つのテーマについて異なる視点で書かれた記事を見つけることも大変でしたが、探していると意外と見つかり、更に上記の4つの切り口で見ると記事毎に異なる数字やセカンドオピニオンとして異なる視点からの見方があって面白いと思いました。どれが真実の情報なのかを見分けられるようになるにはまだまだ訓練が必要そうです…。

2.オーディオニュースについて
ラジオやポッドキャストなどのオーディオでのニュース発信を専門とするAlexey Orlov(アレクセイ・アルロフ)氏にお話を聞きました。

Alexey Orlov氏

現在では、YouTubeやテレビなど映像からの情報に慣れているため、オーディオからの情報は得にくくなっているという話を終始していました。
「音楽とトークショーはどのように競合しているか?」というテーマでも議論が始まり、ここで日本の事情についても聞かれたのでお答えしました。

プログラム3日目

3日目は、主に文化プログラムと称し、モスクワの各観光地を巡りました。
赤の広場、クレムリン、モスクワシティを訪れ、特にクレムリン内散策ではガイドも付けてそれぞれの建物の説明もしてくれました。

赤の広場にて
同じく赤の広場のレーニン廟の前にて
モスクワシティの前にて

本当はロシアの有名IT企業Yandexにも訪問するはずだったのですが、同時期にモスクワでコロナ感染者が急激に増加したためキャンセルとなってしまいました。残念です。

そして最後には本プログラムの主催者、ロシア連邦交流庁の本庁を訪問し、今回の所感をそれぞれ述べた後に、1人1人参加証明書をいただきました。

ロシア連邦交流庁本庁
ロシア連邦交流庁でお話してくださった方々
ロシア連邦交流庁のロゴの前にて
全員1人1人参加証明書をいただきました!

ロシアのメディアに対する態度がよく分かったのもそうですが、実践的なエクササイズを通して、今後どのようにそれぞれのメディアを見て真の情報を探ったり記事に活かしたりしたら良いのかの大きな手助けとなりました。

おまけ

РОССИЯ СЕГОДНЯのオフィスの中も見学させていただけたのでご紹介します。

いくつかあるカンファレンスルームのうちの一つです。こちらでよく講義などを行うそうです。
放送用セットが設置してある部屋で、カメラもセットされていました。
大規模なカンファレンスなどを行うときに使用する大ホールです。
大ホールの演説台の近くにて…
РОССИЯ СЕГОДНЯを少し離れて見るとこのような感じです。
建物自体は、モスクワオリンピックに向けて建てられたそうです。(オリンピックは実現しませんでしたが)

お土産として、スプートニクのグッズをたくさんいただきました!

いかがだったでしょうか?
もし、来年同プログラムに参加してみたいと思った方(記者に限ります)は、是非中村までお気軽にご連絡ください!

投稿者:中村有紗
幼少の頃より習っていたバレエがきっかけで大学時代からロシア語を勉強し始める。
日ロ学生交流会やモスクワ留学を通してロシアにどっぷり浸かり、卒業後は防衛省でロシア語通訳を務めた。
その後弊社と事業提携している株式会社LikePay、現在は弊社で広報・PR担当として活動する傍らロシアビジネスにも関わる。
様々な人と話してその人の魅力を引き出すことが好きです!

RouteX Inc.では毎年ロシアのスタートアップ・エコシステムの現地調査を行っており、首都モスクワ近郊に政府主導で開発が進むイノベーション都市スコルコボを中心としたスタートアップとの連携の強化に動いております。
今後はモスクワやスコルコボだけでなく、ロシアの他の都市へのリサーチへと活動も広げていく予定にしております。
これまでのロシアでの調査活動はこちらからご確認いただけます。

RouteX Inc.ではロシアを始め、引き続きスタートアップ・エコシステムにおける「情報の非対称性」を無くすため、世界中のスタートアップとの連携を進めてまいります。
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