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(モスクワの中心部にそびえ立つ、巨大ビル群モスクワ・シティ)

ロシアと聞いて、みなさんはどんなことを想像しますか?
冷戦期のソ連や社会主義国の少し暗いイメージ。

あるいは「美人が多くて寒い」といった現地の暮らしのイメージなどを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

それでは、ロシアのスタートアップと言えば、どんな企業が思い浮かぶでしょうか?

すぐにロシアのスタートアップが思いつく人はほとんどいないのではないでしょうか。

(モスクワの中心、赤の広場) 

新規性のあるビジネスモデルでイノベーションを起こし、急速に成長するスタートアップの魅力は世界中で注目されています。さらに、スタートアップを支援し成長を加速するエコシステムにもますます関心が高まっています。しかし、シリコンバレーや中国(深セン)・イスラエルの様に世界的なイノベーションを起こしている地域と比較して、ロシアのスタートアップ・エコシステムについて知っている人は少ないのでは無いでしょうか。実はロシアはスタートアップ大国として非常に大きなポテンシャルを持っています。今回はそんなロシアのスタートアップ・エコシステムを現地調査に行ってきましたので、現地の様子をお伝えします!!

ロシアのスタートアップ・エコシステムには、主に以下の4つの特徴があるように思います。

ソ連時代から続く、高度な理数系教育

ソ連時代、ミサイルの開発が盛んだったことや宇宙飛行士ガガーリンが活躍したことはよく知られています。その時代、アメリカとの冷戦や他国との競争に追い込まれたソ連は、国民の教育過程の中でも、特に理数系やエンジニア育成に力を入れていました。そのため、非常に多くの優秀なエンジニアが生まれたと言われています。

1990年代初めにソ連が崩壊した後も、同じ様に集中的な理数系の教育が継続されました。

その結果、モスクワ大学を中心に理数系分野で非常に優秀な卒業生がこれまで輩出されてきました。

そのような背景もあって、モスクワ大学やサンクトペテルブルク大学等は、ロシアのスタートアップエコシステムにおいて重要な人材の養成所のような役割を担っており、シリコンバレーにおけるスタンフォード大学の様だとも言えます。このようにして、高度な理数系教育を実現する大学や専門機関が多く存在することで、国内にたくさんのエンジニアを抱えています。

しかし、多くの優秀なエンジニアを抱えるロシアですが国内での就職難やクリミア問題を発端とした経済制裁による不景気から、国内でうまく就職出来なかった優秀なエンジニアが多くいる現状があり、そういった人達がスタートアップに参加するという流れも出来つつあるようです。シリコンバレーのスタンフォード大学では積極的に大学の研究成果をスタートアップとしてスピンアウトする流れがありますが、ロシアでもモスクワ大学を始めとした高等機関の研究結果をスタートアップとしてスピンアウトする流れが出来ると、さらにロシアのスタートアップ・エコシステムの中での大学の重要度が高まるかもしれません!

国主導のイノベーション創出計画 スコルコボ

ロシアの首都モスクワ西部にあるスコルコボという地域を皆さんはご存知でしょうか?

ここはイノベーション創出のために、ロシア政府が最重要視している地域です。


従来のスコルコボは小さな村が点在する田舎でしたが、2010年以降、当時大統領だったメドベージェフ氏を始め、ロシア政府が主導する形で、広大な400ヘクタールの土地にイノベーション都市を開発する計画が進められました。

何もないところにイノベーションを起こすための都市を一から作るという広大な構想を実現出来るところがロシア政府がどれだけ本気でイノベーションを起こそうとしようとしているのかがよく分かりますね!

現在では、スタートアップや投資家・アクセラレータなどを誘致して拠点を設けてもらうためのオフィス施設や、多くの研究開発を奨励するイノベーションセンターや研究機関が設置されています。

また、イノベーションに関するイベントやカンファレンスが非常に盛んなことも特徴的です。

RouteXの調査期間に開催された「Open Innovations Forum 2018」は、ロシア国内で最大級のイノベーションカンファレンスです。これには、国内外のグローバル規模のIT企業の重役だけでなく、ロシア政府のトップ層も参加しています。

Open Innovations Forumにどれだけロシアが力を入れているのかがよく分かるのがこちらのスクリーンです。これは会場でLive配信されているのですが、ロシアの元大統領で現在の首相であるメドベージェフ氏がOpen Innovations Forumに参加してトークセッションに参加している様子です。ここスコルコボは元々メドベージェフ氏が大統領の時代に始動したプロジェクトでもあり、現在の首相がトークセッションに参加している事もあり、ロシア政府にとっても年間を通した一大イベントだということがよく分かります。

一般の人はこのトークセッションの会場には入る事が出来ないので、スクリーン前に人が集まり、トークセッションの内容を興味深くみなさん聞かれていました。

トークセッションの議題は「Smart Country. National Strategy」となっており、メドベージェフ氏とトークセッションを行うスピーカーをの方々も世界的に有名な方ばかりでした。

代表的にはロシア版GoogleのYandex CEOやEYのCEOも登壇されておりました。

ネット規制と海外のビジネスモデルのローカライズ化

みなさんはYandex(ヤンデックス)やVKontakte (フコンタクテ)という会社を聞いたことがあるでしょうか?

実はこの2つはロシアで最も有名なスタートアップであり、

Yandexはロシア版Google、VKontakteはロシア版Facebookと呼ばれています。

ロシアは旧社会主義国だということもあり、報道に規制がかかる場合が多く、ネット上の情報についても同様です。例えば、日本を中心として人気のSNS、Lineはロシア国内では規制がかけられてサービスが使用できず、さらにGoogleやFacebookのサービスについても政府によって規制がかけられる動きがあります。

このような動きによって、国外のビジネスが参入しにくい状況が意図的に作られ、海外のスタートアップを国内マーケットから締め出すことができます。そうすると、国内に海外のビジネスモデルを取り入れたスタートアップが起されて成長できるチャンスが生まれるのです。

このようなネット規制を取っている国で有名なのは中国です。

中国ではロシア以上に厳しいネット規制がかけられており、Google等やFacebookも全く使う事が出来ない状況となっております。海外のスタートアップが入りにくい状況が作られている

中国で代表的なスタートアップとしては、中国版アマゾンのAlibabaや中国版GoogleのBaidu等が挙げられます。

ロシアはロシア語という特殊な言語圏にあるので、アメリカのビジネスモデルをいち早くロシア語に対応させることで、ロシアを含めた旧ソ連圏の大きなマーケットを獲得できるチャンスが得られます。

このような背景もあって、従来のYandexとVKontakteはアメリカでつくられたビジネスモデルを国内向けに取り入れたサービスでした。しかし、その後、両者はそれぞれのマーケットに合わせてサービスを適応化させることで独自の発展を実現し、国内最大級のスタートアップとなっています。

(左上は、VK創業者 パーヴェル・ドゥーロフ Image Credit Chris Ratcliffe)

(左下は、カスペルスキー創業者 ユージン・カスペルスキー Image Credit Chris AFP)

(右上は、イーサリアム考案者 ヴィタリック・ブテリン Image Credit Techcrunch)

(右下は、Google創業者 セルゲイ・ブリン Image Credit Google)

目標となる多くの世界的起業家を輩出

ここまでの説明でロシア国内におけるスタートアップの勢いやエコシステムの形成過程について知っていただけたかと思います。

ではロシア国内だけでなく世界で活躍するロシア人起業家はいるのでしょうか? 
普段、そういった視点で起業家の人を見ることはあまりないかもしれませんが、実は普段私達が使っているGoogleはロシア人のセルゲイ・ブリンによって創業されました。

また、最近話題のブロックチェーンの中でも1,2を争うほど人気であるイーサリアムも、実はヴィタリック・ブテリンというロシア人によって考案されたものなのです。

それ以外にもセキュリティソフト、カスペルスキー創業者のユージン・カスペルスキーや

VKontakteとTelegram Messenger LLP創業者のパーヴェル・ドゥーロフ等、世界で活躍するたくさんの起業家がロシアから輩出されているのです。

このように世界に輩出される成功した起業家は、ロシアのスタートアップに参画する人々の目標と憧れとなり、ロシアの若い世代が起業していく流れが生まれつつあるのです。

ロシアのスタートアップが盛り上がっている事や政府主導でイノベーションを起こすための都市を作ろうとしているといった情報を知っていた方は少なかったのではないでしょうか?
非常に優秀なエンジニアをたくさん抱え、政府のサポートもあり、イノベーションを起こすためのエコシステム作りも設計されているロシアはスタートアップ大国になり得る大きなポテンシャルがある事を感じてもらえたかと思います。

RouteX Inc.では、引き続きロシアのスタートアップとの連携を含めた現地調査を行っていきますので、ロシアのスタートアップ環境についてもっと詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。

また、ロシア以外のスタートアップとの連携や海外のイノベーション拠点の調査依頼、海外アテンド依頼等もお気軽にお問い合わせください!

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