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記事一覧 > ロシア発祥の有名メッセンジャーアプリTelegramの秘密を探る

皆さんは、ロシア発祥のメッセンジャーアプリ「Telegram(テレグラム)」を御存知でしょうか?

”ロシア版LINE”とも言われており、ロシアで最も使用されているのはもちろんのこと、世界中でもユーザーを伸ばしており、日本でも名前を聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。

今回は、特徴や機能も紹介しながら「Telegram(テレグラム)」の人気の秘密に迫っていきたいと思います。

ロシア版LINE『Telegram(テレグラム)』とは?

Telegram(テレグラム)は、2013年にサービス開始と、Facebook/Messangerなど他のアプリに遅れてチャットアプリ市場に参入しましたが、ロシア・中央アジア市場を中心に急成長を遂げています。
2021年1月には、全世界で月間アクティブユーザー5億人を抱え、世界シェア第5位の地位を占めています。

アプリ別月間アクティブユーザー数ランキング
出典: statia 2021
Telegramのユーザー数増減グラフ
出典: How Many People Use Telegram in 2021? 55 Telegram Stats

若者をターゲットにしたサービス開発

Telegramの特徴は、「コミュニケーションをとりやすくすることに特化している点」です。
LINEのように多様で複雑な機能を付けるのではなく、あくまでコミュニケーションの質の向上に特化している点が、若者の人気を集めているといえるでしょう。
今回は、Telegram特有の機能についても解説していきます。

【Telegram 特有の諸機能】

  1. メッセージ送受信/音声通話/ビデオ通話
  2. ライブロケーションと接近アラートシステム
  3. チャットメッセージの時間指定送信
  4. チャットフォルダ整理
  5. グループボイスチャット機能

ライブロケーションと接近アラートシステム

TelegramではLINE同様に自分の現在地を共有することができるほか、自分の動きをリアルタイムで共有することができます。
このライブロケーション機能により、受信者は送信者の動きを指定された時間内で追跡することができる他、お互いの距離が指定する範囲に入った時にアラートを鳴らすことができます。
特に待ち合わせの場面で重宝されています。

出典: The Indian EXPRESS

チャットメッセージの時間指定送信

Telegramでは、Gmailと同様にチャットメッセージを時間指定して送信することができます。

余談ですが、僕のロシア人の友人の1人はこの機能が最も重宝していると言っていました。特に、深夜のうちにチャットで返信したいけれど、その後やり取りが続くのが面倒な時によく使っているようです。

チャットフォルダ整理

Telegramでは友人とチャットをフォルダに整理することができます。
例えば大学の友人は「大学」フォルダに、仕事の仲間は「仕事」フォルダに、といった具合に整理することが可能です。
1人の友人を複数のフォルダに格納することもでき、用途に応じてすぐに友人を見つけられるのがメリットです。

僕の場合、海外の友人を国ごとに整理しています。

出典: The Indian EXPRESS

その他の特徴としては、写真と動画の高速送受信が可能であったり、テキスト・写真・動画が全てクラウドに保存されるため、スマホの容量を圧迫しなかったりという特徴があります。
私が試したところ、9分の高画質動画(75.3MB)であればほぼゼロ秒で送受信できました。

このような若者をターゲットとしたサービス開発の結果、現在ロシアでは主に家族や親しい友人との日常のコミュニケーションで利用されています。

また私の大学で講師をしている友人の場合、受講者のグループを作成し、生徒に対して授業動画や講義に関する連絡を行うといったビジネス的な利用もしているとのことでした。

最大の強味:セキュリティの強さ――ライバルアプリ「Whatsapp」との競争

先述の通り、Telegramは2013年にローンチされました。開発者のニコライ=ドゥーロフ・パヴェル=ドゥーロフ兄弟は、ロシア最大のソーシャルプラットフォーム「VKontakte(フコンタクテ、通称:VK)」の開発者でもあります。
Telegramは、機能の類似性からシリコンバレー発の「Whatsapp(ワッツアップ)」のライバルとして存在し、特に「高度なセキュリティ」を強みに成長してきました。

Telegramではチャットメッセージのやりとりが、MTProtoと呼ばれる独自開発のプロトコルによって全て暗号化されています。そのためシステム管理者であってもチャットメッセージのやりとりを見ることは一切できません。

またチャットでは「シークレットチャット」を選ぶことができます。シークレットチャットでは、メッセージがサーバーに保存されることなく送受信される他、メッセージはログアウトすると自動で削除されるようになっており、ハッキング及び直接の視覚の双方において第三者の目に触れる心配が極めて低くなります。

出典: sovetnasha

Whatsappからのユーザーの獲得

現在、この高いセキュリティを背景にWhatsappからTelegramへのユーザーの乗り換えが起こっています。

事の発端は2021年1月4日に発表された、Whatsappのプライバシーポリシーの改定です。
新しいプライバシーポリシーでは、Whatsappユーザーの電話番号や位置などの個人データが親会社のFacebookと共有されることが提示され、これに同意しないユーザーはWhatsappを利用できなくなることになりました。

これがユーザーに忌避され、発表後3日で約2,500万人がTelegramに乗り換えたとも言われています。

(情報源:Financialexpress

まとめ: 高いセキュリティと快適なコミュニケーションを実現するツール

Telegramは、個人情報のセキュリティを特に重視するという現在のニーズを捉えて成長してきました。
歴史を振り返ると、Telegramがローンチされた2013年というのは、元CIA職員エドワード=スノーデンが、米当局による個人情報の収集を暴露した年です。
以来Telegramは安全なコミュニケーションを実現するために、独自のシステムを構築してきました。
このコミュニケーションの安全性を担保した後、現在は本記事でも紹介したような快適なコミュニケーションを追求しています。Telegramの有名な話に「コミュニケーションに広告を入れるべきではない」というスタンスがありますが、それはまさにこの快適性を追求する姿勢の体現です。

ロシアでは、今回ご紹介したTelegramのように世界中で利用されるITシステムが、数多く開発されています。RouteXでは引き続き、ロシア発祥のITツールやシステムについてご紹介していきます!

投稿者:穗原 充
東京大学大学院 総合文化研究科地域文化研究 専攻ロシア・東欧研究地域
大学でロシアの都市研究を行う。
同時にスタートアップの人材支援領域で約3年間長期インターンとして働く。
現在はロシアの宇宙開発、都市インフラを中心にリサーチ中。
好きなロシア料理はセリョードチカ(ニシンの塩漬け)のサラダ。

RouteX Inc.では毎年ロシアのスタートアップ・エコシステムの現地調査を行っており、首都モスクワ近郊に政府主導で開発が進むイノベーション都市スコルコボを中心としたスタートアップとの連携の強化に動いております。
また、今後はモスクワやスコルコボだけでなく、ロシアの他の都市へのリサーチへと活動も広げていく予定にしております。
これまでのロシアでの調査活動はこちらからご確認いただけます。

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